遺留分侵害額請求をされた場合
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亡くなった方(被相続人)の遺言書に基づいて財産を相続し、ようやく手続きが一段落したと思っていた矢先、他の相続人から「遺留分侵害額請求」と書かれた内容証明郵便が届く。
このような事態に直面し、「遺言書通りにしただけなのに、なぜ?」「そもそも遺留分とは何なのか?」と、大きな戸惑いや驚きを感じていらっしゃるのではないでしょうか。
福井の地で弁護士として15年間、多くの相続案件に携わる中で、残念ながら相続が「争続」となってしまうケースも数多く見てまいりました。
特にこの遺留分侵害額請求は、請求された側にとって、法律的な権利であるとは分かっていても、感情的に納得がいかない部分も多い問題かと思います。
この記事では、「遺留分侵害額請求」をされてしまった方に向けて、そもそも遺留分とは何なのか、その請求は拒否できるのか、そして今後どのように対応すべきかについて、分かりやすく解説していきます。
目次
そもそも「遺留分侵害額請求」とは何か?
まず、「遺留分(いりゅうぶん)」という言葉自体に馴染みがないかもしれません。
遺留分とは、ご兄弟姉妹以外の法定相続人(例えば、配偶者やお子様など)に対して、法律上最低限保障されている遺産の取り分のことを指します。
そして「遺留分侵害額請求」とは、遺言や生前贈与(亡くなる前に行った贈与)によって、この遺留分が侵害された(つまり、最低限保障されている取り分よりも少ない財産しかもらえなかった)相続人が、遺言などによって財産を多く受け取った人(今回の記事を読んでくださっている、あなた)に対して、その侵害された分に相当する金銭を支払うよう要求する権利のことです。
これは、民法という法律で認められている正当な権利です。
遺留分侵害額請求は「拒否」できるのか?
では、この請求をされた場合、拒否することはできるのでしょうか。
結論から申し上げますと、法律で定められた正当な権利であるため、請求そのものを拒否することはできません。
例えば、「請求してきた相続人は、生前、被相続人(亡くなった方)の介護に全く関わっていなかった」あるいは「自分の方がよほど故人の面倒を見てきた」といった感情的な理由があったとしても、残念ながらそれだけで遺留分侵害額請求を拒否する理由にはなりません。
ただし、注意点もあります。相手が請求してきた金額が、必ずしも法律的に正しいとは限らないということです。
遺留分の計算は複雑で、前提となる財産の評価額が適切かどうか、あるいは請求権が時効によって消滅していないかなど、法的な観点から慎重に確認すべき点がいくつもあります。
遺留分侵害額請求をされた場合の具体的な対応ステップ
もし内容証明郵便などで遺留分侵害額請求が届いたら、まずは冷静にその内容を確認することが大切です。
いつの相続に関するものか、請求額はいくらか、その根拠は何かが書かれているはずです。
その上で、遺留分を侵害しているかどうかを正確に判断するために、被相続人が残した相続財産(預貯金、不動産、株式など)の全体像を正確に把握し、それらを適切に評価し直す必要があります。
そして、計算の結果、確かに遺留分を侵害していると認められる場合は、その侵害額を原則として「金銭」で支払うことになります。すぐに金銭を用意するのが難しい場合、どのように対応していくかを相手方と協議していく必要も出てくるでしょう。
絶対に避けるべきなのは、請求を無視し続けることです。相手方からの連絡に応じず放置してしまうと、家庭裁判所での調停や、民事訴訟(裁判)に発展してしまう可能性があります。
最終的には、ご自身の財産が差し押さえられるといった強制執行のリスクも生じます。
なぜ、このような問題が起きるのか?(遺言作成時の注意点)
そもそも、なぜこのようなトラブルが起きてしまうのでしょうか。
多くの場合、その根本には、被相続人が遺した「遺言書」の内容が関係しています。「特定の相続人に全財産を相続させる」「特定の子供にだけ多く財産を残す」といった内容の遺言書は、故人の強い想いによるものかもしれません。
しかし、その内容が他の相続人の遺留分を侵害してしまっている場合、今回のような遺留分侵害額請求という問題を引き起こす火種となってしまいます。
もし、故人が遺言書を作成される段階で、将来の相続トラブルを避けたいと考えるのであれば、あらかじめ各相続人の遺留分に配慮した内容の遺言を作成することが最も重要でした。
まとめ:遺留分侵害額請求でお困りなら、まずは弁護士にご相談ください
今回は、遺留分侵害額請求をされた場合の対応について解説しました。
遺留分侵害額請求は法律で認められた正当な権利であり、たとえ感情的に納得がいかない理由があったとしても、原則として拒否することはできません。もし請求を無視し続けてしまうと、家庭裁判所での調停や民事訴訟へと発展し、かえって時間的・精神的な負担が大きくなってしまう可能性があります。
とはいえ、突然このような請求が届けば、冷静に対応するのは難しいものです。
また、相手の請求額が正しいかどうかを判断したり、複雑な財産の評価をしたりするには、専門知識が必要となります。
私たち弁護士法人ふくい総合法律事務所は、ここ福井の地で、これまで多くの相続トラブルの解決に携わってまいりました。
突然の請求でお困りの方、今後どう対応すべきかご不安な方は、決してお一人で悩まず、まずは相続トラブルの専門家である弁護士にご相談ください。
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