相続財産に含まれるもの・含まれないものとは? 弁護士が基本から解説
〇この記事を読むのに必要な時間は約6分54秒です。
ご家族が亡くなられて相続が始まった際、
「一体何が相続財産になるのだろうか?」
「預貯金や不動産は分かるけれど、借金も含まれてしまうのか?」
といった疑問を持たれる方は少なくありません。
もし財産の範囲を間違えて把握してしまうと、思わぬ不利益を被ったり、最悪の場合、気づかないうちに多額の借金を背負ってしまったりする可能性も否定できません。
今回の記事では、相続手続きの基本となる「相続財産」とは何か、具体的にどのようなものが含まれ、どのようなものが含まれないのかについて、詳しく解説していきます。 ぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそも相続財産とは? ~「一切の権利義務」~
多くの方が「相続財産」と聞くと、現金や預貯金、土地・建物といった不動産など、いわゆる「プラスの財産」だけをイメージされるのではないでしょうか。
しかし、法律上の定義はもう少し広く、正確には「被相続人(お亡くなりになられた方)の財産に属した全ての権利義務」が相続財産の対象となります。
ここでの重要なポイントは、「権利」だけでなく「義務」も含まれるという点です。
つまり、土地の所有権や預貯金といったプラスの財産を引き継ぐのと同様に、借金や未払金といった「マイナスの財産」も、原則として引き継ぐことになるのです。
まずはこの「プラスもマイナスも全て含む」という基本を理解しておくことが大切です。
相続財産に含まれる「プラスの財産」の具体例
それでは、具体的にどのようなものが相続財産に含まれるのかを見ていきましょう。
まず、イメージしやすい「プラスの財産」の代表例としては、土地や建物といった不動産の所有権が挙げられます。
また、家財道具、自動車、貴金属、あるいは手元にある現金なども「動産」の所有権として相続財産になります。
金融資産も当然含まれます。銀行などにある預貯金、株式、投資信託などがこれにあたります。
さらに、土地や建物の賃借権(借りる権利)や、お金を貸していた場合の貸金債権、事業をされていた場合の売掛金なども、被相続人が持っていた「債権」として相続の対象です。
あまり馴染みがないかもしれませんが、特許権、商標権、意匠権、著作権といった「無体財産権」と呼ばれる権利や、何らかの契約上の地位なども、プラスの財産として引き継がれます。
相続財産に含まれる「マイナスの財産」の具体例
相続財産はプラスのものだけではないとご説明しましたが、相続手続きにおいて特に注意が必要なのが、この「マイナスの財産」です。
これらは法律上「債務」と呼ばれます。
最も分かりやすいのは、銀行や消費者金融などからの「借金」です。
ほかにも、事業をされていた場合の「買掛金」、まだ支払っていなかった「未払金」、あるいは、もし被相続人が交通事故などを起こしていて「損害賠償義務」を負っていた場合、そうした義務も相続財産として引き継がれます。
プラスの財産がどれだけ多くても、それを上回るマイナスの財産があれば、相続人にとっては大きな負担となりかねません。
もし、調査の結果「プラスの財産」よりも「マイナスの財産」の方が明らかに多いと判明した場合には、「相続放棄」という手続きを家庭裁判所で検討する必要も出てきます。
相続財産に含まれないものの代表例
これまで相続財産に含まれるものをご説明してきましたが、一方で、亡くなった方に関連する財産であっても、法律上、相続財産に含まれないものもあります。
その代表的なものが「死亡保険金請求権」です。 被相続人が亡くなったことによって支払われる生命保険金は、保険契約によって「受取人」として指定された人の固有の財産(その人自身の財産)と考えられています。そのため、原則として相続財産には含まれず、遺産分割の対象にもなりません。(ただし、例外的な扱いがなされる場合もあります。)
同様に「死亡退職金」についても、会社の規定などで受取人が指定されている場合(例えば「配偶者」など)、その受取人固有の財産とされ、相続財産には含まれないことが一般的です。
そのほか、葬儀の際に参列者からいただく「香典」も、一般的には喪主に対する贈与(お見舞い)と考えられており、被相続人の財産ではないため相続財産にはなりません。
また、お墓や仏壇、系図といった「祭祀財産(さいしざいさん)」と呼ばれるものも、一般の相続財産とは区別され、それらを引き継ぐ特定の人(祭祀承継者)が承継することになります。
注意点:「みなし相続財産」と相続税
死亡保険金や死亡退職金は原則として相続財産には含まれないとご説明しました。
しかし、ここで一つ、重要な注意点があります。
それは、「相続税」を計算する上での扱いです。 死亡保険金や死亡退職金は、相続人どうしで分ける「相続財産」ではありませんが、税金の計算上は「被相続人が亡くなったことによって取得した財産」とみなされます。
このため、これらは「みなし相続財産」と呼ばれ、相続税の課税対象には含まれるのです。(※一定の非課税枠はあります)
つまり、「遺産分割の手続き(相続財産を分ける話し合い)」と「相続税の申告(税金を計算する手続き)」とでは、対象となる財産の範囲が異なる可能性がある、ということを知っておく必要があります。
相続財産の調査を行う際は、この違いを意識しておくことが大切です。
まとめ
今回は、「相続財産」について、その基本的な定義から、プラスの財産・マイナスの財産の具体例、さらには相続財産に含まれないものまでを解説しました。
相続財産とは、現金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含む「一切の権利義務」が対象となります。
相続財産の調査はご自身で行うことも可能ですが、非常に複雑で専門的な知識が求められます。特に、もしマイナスの財産が多い場合に検討すべき「相続放棄」には、原則として「相続の開始を知った時から3ヶ月以内」という期限が定められています。
福井県福井市およびその近郊にお住まいの皆様で、相続財産の範囲がよく分からない、財産の調査に不安がある、あるいは期限が迫っているかもしれないという場合は、一人で悩まず、お早めに私たち弁護士法人ふくい総合法律事務所までご相談ください。地域に密着した事務所として、皆様の問題解決に向けてサポートさせていただきます。
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