相続手続きに必要な戸籍謄本の手続き・種類・取り方

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分29秒です。

相続が発生した際、さまざまな書類が必要となりますが、その中でもとくに重要な役割をもつのが戸籍謄本です。

相続手続きにおいて、戸籍謄本は家族関係や相続人の確定を行うために不可欠な書類となります。

今回の記事では、相続手続きで必要とされる戸籍謄本の種類や取得方法、そして戸籍謄本に関するよくある質問について詳しく解説していきます。

相続手続きをスムーズに進めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

 

戸籍謄本が必要な相続手続き

戸籍謄本が必要とされる主な相続手続きは、以下のとおりです。
・法定相続人の調査
・遺言書の検認
・預貯金や有価証券の名義変更
・不動産の名義変更(相続登記)
・自動車の移転登録
・相続税申告
・遺族年金の請求
・相続放棄や限定承認の申し立て

多くの相続手続きでは、基本的に相続関係を証明する書類として、戸籍謄本の提出が求められます。

戸籍謄本には、出生・結婚・死亡・親族関係などの事項が記載されており、戸籍に記載されている人の身分や相続関係を確認できるためです。

 

相続手続きで使用する戸籍謄本の種類

相続手続きにおいて必要となる戸籍謄本には、さまざまな種類があります。

手続きによって要求される情報が異なるため、間違いのないように適切なものを用意しましょう。

相続手続きで必要となる戸籍謄本の主な種類は、以下のとおりです。
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
・相続人全員の現在の戸籍謄本

除籍謄本とは、戸籍に記載されている人が、死亡や結婚などによって全員いなくなった状態を証明するための除籍情報の写しです。

また、改製原戸籍謄本とは、戸籍法が改正される前の古い戸籍で、被相続人の出生からたどる際に必要となる場合があります。

 

相続手続きに必要な戸籍謄本の取り方

戸籍謄本を取得する方法としては、直接役所の窓口に出向くか、郵送で取り寄せるのが一般的です。

ここでは、戸籍謄本を取得できる人や取得に必要なものも含めて、具体的な取得方法を解説します。
・被相続人の戸籍謄本を取得できる人
・戸籍謄本の発行手数料
・役所の窓口で取得する方法
・郵送で取り寄せる方法

それぞれの項目について、以下で一つずつ確認していきましょう。

被相続人の戸籍謄本を取得できる人

被相続人の戸籍謄本を取得できるのは、主に以下の関係にある人です。

  1. ①配偶者
  2. ②父母や祖父母などの直系尊属
  3. ③子どもや孫などの直系卑属
  4. ④任意代理人

任意代理人に取得を依頼する場合は、依頼者の委任状が必要です。

なお、弁護士や税理士などの専門家は、職権によって委任状がなくても依頼者からの依頼にもとづいて戸籍謄本を取得できます。

戸籍謄本の発行手数料

戸籍謄本を取得する際には、1通ごとに発行手数料を支払う必要があります。

戸籍謄本 1通450円
除籍謄本 1通750円
改製原戸籍謄本 1通750円

上記は一般的な手数料となっており、自治体によって異なる可能性もあります。

役所の窓口で取得する際は、発行枚数分よりも余裕をもった金額を用意しておくといいでしょう。

役所の窓口で取得する方法

役所の窓口で戸籍謄本を取得する際は、以下のものを用意して最寄りの役所に出向きましょう。
・印鑑
・本人確認書類(運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど)
・発行枚数分の手数料

法改正によって、2024年3月1日からは、本籍地の役所に出向かなくても最寄りの役所で戸籍謄本を発行できるようになりました。

役所に置いてある戸籍証明交付申請書に必要事項を記入し、窓口に提出することで戸籍謄本が発行されます。

なお、任意代理人に依頼する場合は、委任状と代理人の本人確認書類が必要になるほか、本籍地のある役所の窓口で申請しなければならないため注意が必要です。

郵送で取り寄せる方法

郵送で戸籍謄本を取り寄せる場合は、本籍地の役所宛てに、以下の書類を揃えて送付します。
・戸籍証明交付申請書(役所のホームページから印刷して記入)
・本人確認書類の写し
・手数料分の定額小為替(郵便局で購入)
・切手を貼った返信用封筒(宛名に自分の住所と名前を記載)

戸籍謄本は後日郵便で自宅に郵送されるため、役所に行く時間がない人に便利な方法です。

しかし、戸籍謄本が到着するまでに1週間~2週間程度の日数がかかるため、急ぎで必要な場合には向いていません。

 

相続の戸籍謄本に関するよくある質問

相続の戸籍謄本に関する、よくある質問を紹介します。
・戸籍謄本に有効期限はある?
・相続手続きで戸籍謄本は何通必要?
・相続手続きで提出する戸籍謄本はコピーでもいい?
・戸籍謄本の代わりになる法定相続情報一覧図とは?

各質問内容と回答を、以下で詳しく見ていきましょう。

戸籍謄本に有効期限はある?

戸籍謄本そのものには、有効期限はありません。

しかし、死亡届を提出してから戸籍に反映されるまで、1週間から10日程度かかります。

死亡日が反映された戸籍謄本の取得が必要な場合には、被相続人の死亡届を提出した日から10日目以降に取得するようにしてください。

また、提出先によっては「発行から〇ヶ月以内」といった形で最新のものを要求されるケースもあるため、注意が必要です。

相続手続きで戸籍謄本は何通必要?

相続手続きの際に必要な戸籍謄本の数は、行う必要のある手続きの内容によって異なります。

相続手続きの内容は、相続する財産の種類や相続方法などで変わってくるため、事前にどの手続きで必要になるかを確認した上で取得するといいでしょう。

なお、手続きによっては、提出した戸籍謄本の原本を返却してもらえる可能性があります。

詳細は、手続きを行う税務署や金融機関の窓口で確認するのがおすすめです。

相続手続きで提出する戸籍謄本はコピーでもいい?

相続手続きにおける戸籍謄本は、原本の提出を求められるケースが多いです。

基本的にコピーではなく、役所で正式に発行された原本を提出するようにしましょう。

なお、相続税申告では、原本ではなく戸籍謄本のコピーの提出が認められています。

できるだけ取得する部数を減らしたい場合には、都度提出先の窓口に確認するのが確実です。

戸籍謄本の代わりになる法定相続情報一覧図とは?

法定相続情報一覧図とは、被相続人と相続人の関係を一覧にした書類です。

相続関係を証明するのに必要な戸籍謄本などを収集し、それをもとに法定相続情報一覧図を作成して、法務局に提出することで取得できます。

法務局が発行した法定相続情報一覧図があれば、1枚で相続関係を証明できるため、相続手続きにおいて戸籍謄本一式を何度も取り寄せる必要がなくなります。

また、法定相続情報一覧図は発行手数料がかからないため、手数料を最低限に抑えたい人にもおすすめです。

しかし、金融機関など一部の提出先では、法定相続情報一覧図が戸籍謄本の代わりにならない可能性もあるため、個別に確認する必要があります。

 

戸籍謄本の収集が難しい場合は専門家に相談しよう

相続手続きには多くの書類が必要となり、戸籍謄本も重要な書類の一つです。

しかし、被相続人と相続人全員の戸籍謄本を収集する時間がなかったり、どのように申請すればいいのかわからなかったりするケースもあるでしょう。

戸籍謄本の取得や相続手続きで悩んだ際は、弁護士や税理士・司法書士などの専門家に相談するのがおすすめです。

相続問題を得意としている専門家であれば、戸籍謄本の取得から申請まで、専門的な知識と経験を活かしてサポートしてくれます。

 

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