相続税における土地評価方法を解説|基本の流れや算定方式

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分54秒です。

相続税の計算を行うには、各財産の価値を正確に評価する必要があります。

とくに土地の評価額は高額になる傾向があり、相続税の計算にも大きく影響するため、どのように評価すればいいのか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、相続税の計算における相続した土地を評価する基本的な流れや、評価方法について解説します。

路線価方式・倍率方式それぞれの計算方法も詳しく解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

 

相続した土地を評価する基本的な流れ

相続税の計算における相続した土地は、基本的に以下の流れで評価します。
・土地の評価方式を確認する
・評価減が可能か確認する
・土地が賃貸されているかどうかを確認する
・小規模宅地等の特例が適用可能か確認する

土地の相続手続きをスムーズに進めるためには、まず土地評価の全体の流れを理解することが大切です。

各工程でどのような手続きを行うのか、以下で一つずつ解説していきます。

土地の評価方式を確認する

まずは、相続した土地の評価方式を確認します。

土地の評価方式は、「路線価方式」と「倍率方式」の2種類です。

路線価とは、道路に面した宅地の1平方メートルあたりの価額を指し、路線価がある土地であれば路線価方式で相続税の評価額を算出できます。

一方、路線価のない土地は、倍率方式で評価額を算出します。

どちらの方法で評価額を計算すべきかは、国税庁が公開している路線価図を見て確認するようにしましょう。

路線価の確認方法は後述します。

評価減が可能か確認する

評価方式の次に確認すべきなのは、評価減が可能かどうかです。

相続する土地が立地や地形など特定の条件を満たす場合、評価減できる可能性があります。

評価減の対象となる要素には、以下のようなものがあります。
・土地がゆがんでいて正方形や長方形ではない
・道路に面していない
・騒音のある線路や踏切に隣接している
・墓地に隣接している
・間口に対して奥行きが長い など

評価減を適切に判断するには専門的な知識が必要となるため、上記のような土地を相続する際は税理士などの専門家に相談しましょう。

土地が賃貸されているかどうかを確認する

相続する土地が賃貸されているかなども、忘れずに確認するようにしましょう。

賃貸している土地の場合、好きなように使える自用地よりも評価額が下がります。

評価額の計算式は、以下のとおりです。

種類 評価額の計算式
借地権(土地を借りている) 自用地評価額× 借地権割合
貸宅地(土地を貸している) 自用地評価額×(1-借地権割合)
貸家建物付地(アパートなどを建てて貸している自分の土地) 自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)

自用地評価額とは、路線価方式もしくは倍率方式で求めた評価額から、評価減要素を考慮して算出した評価額です。

小規模宅地等の特例が適用可能か確認する

最後に、小規模宅地等の特例が適用可能かどうかを確認します。

小規模宅地等の特例とは、特定の要件を満たす土地に適用できる特例です。

対象となる土地は大きく以下の4種類にわけられ、それぞれ限度となる面積や減額される評価額の割合が異なります。

対象となる土地の利用区分 限度免責 減額割合
特定事業用宅地等 400平方メートル 80%
特定同族会社事業用宅地等 400平方メートル 80%
貸付事業用宅地等 200平方メートル 50%
特定居住用宅地等 330平方メートル 80%

最大80%と大幅な評価額の減額が期待できるため、土地を相続する際は必ず適用要件をチェックするようにしましょう。

 

相続した土地の評価額算定は路線価方式が基準となる

相続における土地評価の基準となるのは、路線価方式といわれる算定方法です。

路線価方式では、道路に面している宅地1平方メートルあたりの価額である「路線価」をもとに土地の価値を算出します。
・土地の面積の確認方法
・路線価の調べ方
・路線価方式の計算式

路線価方式を用いた土地評価額の計算方法について、以下で詳しく確認していきましょう。

土地の面積の確認方法

まずは、路線価方式の計算に必要となる、相続する土地の面積を確認しましょう。

土地の面積(地積)は、固定資産税の納税通知書に記載されています。

固定資産税の納税通知書は、所有する土地を管轄している市区町村から毎年4月~5月頃に送付されます。

土地の面積を確認したい場合には、固定資産税の納税通知書を探してみてください。

路線価の調べ方

路線価を調べる際は、国税庁のホームページから路線価図を確認します。

対象となる土地の都道府県から路線価図を選択し、市区町村を選択していきましょう。

路線価図に数字とアルファベットで「○○D」などと表記されているものが、その土地の路線価です。

なお、路線価は千円単位で記載されているため、計算する際は桁を間違えないよう注意してください。

路線価方式の計算式

路線価方式の計算式は、以下のとおりです。

評価額=土地の面積(地積)×持分割合×路線価

固定資産税の納税通知書で確認した面積と、国税庁のホームページで確認した路線価を当てはめて計算しましょう。

持分割合については、基本的には1/1となりますが、土地を共有で保有している場合には1/2や1/3などで計算します。

もし持分割合がわからない場合には、法務局で登記簿謄本(登記事項証明書)を取得すると持分割合が確認できます。

 

路線価がない土地の評価額は倍率方式で算定する

路線価が設定されていない地域の土地評価には、倍率方式が用いられます。

倍率方式とは、固定資産税評価額に国が定めた評価倍率を乗じて土地の評価額を算出する方法です。
・固定資産税評価額の確認方法
・土地の評価倍率の調べ方
・倍率方式の計算式

倍率方式による土地評価額の計算方法を、以下で詳しく確認していきましょう。

固定資産税評価額の確認方法

国税庁のホームページで路線価の記載がなかった場合には、倍率方式で評価額を算出する必要があります。

まずは固定資産税の納税通知書に記載されている「価格」の項目をチェックし、固定資産税評価額を確認しましょう。

固定資産税評価額とは、固定資産税を決める際の基準となる評価額で、各自治体が個別に決定しています。

土地の評価倍率の調べ方

土地の評価倍率は、路線価図と同様に、国税庁のホームページから確認できます。

対象となる土地の都道府県から評価倍率表を選択し、市区町村を選択していきましょう。

評価倍率表では、宅地・田・畑・山林・原野・牧場・池沼など、評価する土地の種類ごとに倍率が記載されています。

相続する土地がどの項目に該当しているかわからない場合は、市区町村役場の都市計画を担当する部署などに問い合わせてみてください。

倍率方式の計算式

倍率方式の計算式は、以下のとおりです。

評価額=固定資産評価額×持分割合×評価倍率

固定資産税の納税通知書で確認した固定資産評価額と、国税庁のホームページで確認した評価倍率を当てはめて計算しましょう。

共有で保有する土地は持分割合が1/1ではなくなるため、わからない場合には登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して確認してみてください。

 

相続の土地評価は専門家に相談するのがおすすめ

相続にともなう土地の評価は、多くの場合、複雑で専門的な知識を要求されます。

とくに複数の土地を評価する場合や、評価減・賃貸・小規模宅地等の特例などの要素を考慮する場合には、税理士などき相続の専門家に相談するのがおすすめです。

専門家に依頼すると、土地の評価がスムーズに進むだけでなく、その後の相続税の申告などの手続きもサポートしてもらえます。

相続税申告には期限もあるため、相続手続きに関する疑問や悩みがあれば、早めに専門家への相談を検討してみてください。

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