相続発生時のやることリスト
〇この記事を読むのに必要な時間は約9分8秒です。
相続が発生した際、遺族が対応しなければならない手続きは多岐にわたります。
突然の出来事で、どの手続きからはじめればよいのか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、相続に関する手続きの種類や、日数別のやることリストを解説します。
適切に相続手続きを進めるためのガイドとして、ぜひ参考にしてみてください。
目次
相続に関する手続きの種類
相続が発生した際は、以下のようにさまざまな手続きが必要となります。
・死亡手続き
・葬儀手続き
・公的手続き
・税金関係の手続き
・遺産相続に関する手続き
・その他の手続き
まずはどのような手続きが必要となるのか、種類ごとに把握しておくとスムーズに対応できるでしょう。
種類別の手続きについて、以下で具体的に解説していきます。
死亡手続き
死亡手続きは、家族が亡くなった際すみやかに行うべき手続きです。
・死亡診断書や死体検案書の取得
・死亡届の提出と火葬許可申請
・故人と縁があった人への訃報連絡
家族が亡くなったときは医師から死亡診断書を受け取るのが一般的ですが、事故死や突然死であった場合、警察による検視後に死体検案書を受け取ります。
葬儀手続き
葬儀手続きは、通夜・葬儀式・告別式・火葬までの一連の準備と進行を含みます。
葬儀会社は事前に決めておくのが望ましいですが、決まっていない場合には病院から紹介を受けるか、自分で探して早めに葬儀の打ち合わせを進めましょう。
死亡届の提出や火葬許可申請は葬儀会社が代行してくれるケースが多いため、まず相談してみるのがおすすめです。
公的手続き
公的手続きは、国や自治体に提出・申請するさまざまな手続きを総称します。
・未払年金の請求や受給停止手続き
・健康保険や介護保険の資格喪失手続き
・住民票の世帯主変更
・埋葬料・葬祭費の請求
上記のように多くの手続きが必要となり、手続きによっては期限が定められています。
一度にすべて行うのは難しいため、期限を確認しながら順を追って対応していくといいでしょう。
税金関係の手続き
家族が亡くなった際は、以下のような税金関係の手続きも必要となります。
・所得税の準確定申告
・固定資産税の納税や現所有者申告
・相続税の申告と納税
所得税の準確定申告は相続開始を知った日の翌日から4ヶ月、相続税の申告は10ヶ月以内に行わなければなりません。
期限に遅れると延滞税や無申告加算税などのペナルティが課される可能性もあるため、対象者は早めに申告しましょう。
遺産相続に関する手続き
遺産相続に関する手続きには、以下のようなものがあります。
・遺言書の確認
・相続人と相続財産の調査
・遺産分割協議
・相続放棄や限定承認の検討
・相続財産の名義変更
遺言書がある場合は原則として遺言書の内容に沿って遺産を分割し、遺言書がない場合は遺産分割協議によって相続人間で遺産の分け方を決定するのが一般的です。
相続に関する手続きは複雑であるため、適宜専門家に相談してアドバイスを受けるのをおすすめします。
その他の手続き
相続の際には、上記以外にもさまざまな手続きが発生する場合があります。
・クレジットカードの利用停止
・運転免許証返納
・スマートフォンの解約
・公共料金の名義変更
・パスポートの失効手続き
状況によって必要な手続きが異なるため、相続人や関係者と相談しながら進めていくといいでしょう。
【日数別】相続のやることリスト
ここでは下記の日数別で、相続手続きのやることリストを紹介します。
・7日以内に行う手続き
・14日以内に行う手続き
・3ヶ月以内に行う手続き
・4ヶ月以内に行う手続き
・10ヶ月以内に行う手続き
・1年以内に行う手続き
・2年以内に行う手続き
・3年以内に行う手続き
・5年以内に行う手続き
相続時の手続きには期限が定められている場合もあるため、日数に応じて進めていくことが重要です。
スムーズに手続きを進めるために、以下で一つずつ確認していきましょう。
7日以内に行う手続き
家族が亡くなったとき7日以内に行う手続きは、以下のとおりです。
・死亡届の提出
・火葬許可申請の提出
死亡が確認され、医師に死亡診断書を作成してもらったら、7日以内に市区町村役場へ死亡届を提出しましょう。
火葬許可の申請には死亡届が必要となるため、ふたつの手続きは同時に行っていくのが一般的です。
14日以内に行う手続き
家族が亡くなってから14日以内にやるべき主な手続きは、以下のとおりです。
・世帯主変更届の提出
・年金の受給停止(厚生年金の場合は10日以内)
・健康保険の資格喪失手続き
・介護保険資格の喪失届
・公共料金等の名義変更・解約など
これらの手続きは、死亡届を提出した後なるべく早めに進めていくようにしましょう。
3ヶ月以内に行う手続き
3ヶ月以内に行うべきなのは、「遺産の相続放棄・限定承認の検討」です。
相続放棄とは相続人としての立場を放棄する手続きで、限定承認とは相続財産の範囲内でのみマイナスの財産(借金等)を引き継ぐ手続きです。
相続放棄や限定承認の手続きは、相続開始を知ったときから3ヶ月以内に行う必要があるため、相続人と相続財産はなるべく早い段階で調査し確定しておきましょう。
4ヶ月以内に行う手続き
4ヶ月以内に行う手続きは、故人の所得税を申告する「所得税の準確定申告」です。
以下のようなケースに当てはまる場合、4ヶ月以内に準確定申告を行わなければなりません。
・自営業者やフリーランス
・不動産を賃貸していた
・2箇所以上から給与を得ていた
・2,000万円以上の給与所得があった
準確定申告を行う際は、準確定申告書や源泉徴収票などを準備して税務署で手続きしましょう。
10ヶ月以内に行う手続き
10ヶ月以内に行わなければならない手続きは、「相続税の申告」です。
相続税を確定させる上で、以下のような手続きも必要となります。
・遺産分割協議の開始
・遺産分割協議書の作成
・各種財産の名義変更
遺産分割協議とは、相続人全員が参加する遺産の分け方についての話し合いです。
後々のトラブルを避けるためにも、合意した内容をもとに遺産分割協議書を作成しておきましょう。
1年以内に行う手続き
1年以内に行う手続きとして挙げられるのは、「遺留分侵害額請求」です。
遺留分とは、法律上取得が保証されている最低限の遺産の取り分を指します。
不平等な遺言や生前贈与によって、本来受け取れるはずの遺留分を受け取れなかった場合、遺留分侵害額請求をして取り返すことが可能です。
遺留分侵害額請求には時効があり、相続開始後に遺留分の侵害があったと知ってから1年以内に手続きしなければなりません。
2年以内に行う手続き
2年以内に行うべき手続きは、加入していた健康保険組合に対する「埋葬料や葬祭費の請求」です。
死亡した日から2年以内であれば請求できるため、必要があれば忘れずに手続きしておきましょう。
健康保険の資格喪失手続きと同時に行っておけば、請求期限が切れてしまうのを防げます。
3年以内に行う手続き
3年以内に行う必要のある手続きは、「生命保険金の請求」です。
生命保険金は自動で支払われるものではなく、死亡日から3年以内に受取人が請求しなければなりません。
加入している生命保険会社がある場合は、請求方法や必要書類をしっかりと確認しておくようにしましょう。
5年以内に行う手続き
5年以内に行う手続きは、「遺族年金の請求」です。
遺族年金とは、国民年金や厚生年金保険の被保険者が亡くなった際に、被保険者によって生計を維持していた遺族(配偶者や子ども)が受けられる年金です。
請求期限は被保険者の死亡日の翌日から5年となっているため、遺族年金の対象となる人は早めに申請して給付を受けましょう。
相続のやることリストを理解し、必要に応じて専門家に相談しよう
相続が発生すると、多岐にわたる手続きが必要となります。
期限がある手続きも多いため、やることリストを確認しながら着実に手続きを進めていきましょう。
自分だけで手続きを進めるのが困難な場合や、相続でトラブルがあった場合には、弁護士など適切な専門家に相談するのがおすすめです。
専門家に依頼すると、書類の提出漏れや不備を防げるほか、手続きの負担を大きく軽減させられます。

弁護士法人ふくい総合法律事務所

最新記事 by 弁護士法人ふくい総合法律事務所 (全て見る)
- 相続と贈与の違い - 11月 25, 2023
- 相続の基礎控除とは?計算方法や特例についても解説 - 11月 17, 2023
- 遺産相続の遺留分とは?遺留分の適用範囲 - 11月 13, 2023