相続で揉めるケースと原因、トラブルを回避するためのポイント

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分7秒です。

遺産相続は複雑な問題が絡み合い、相続人同士でトラブルになってしまうケースも少なくありません。

実際に遺産相続をめぐった問題は、年々増加傾向にあるとされています。

今回の記事では、遺産相続で揉めるケースや原因、トラブルを回避するためのポイントについて解説します。

相続に関するトラブルで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

遺産相続で揉めるケース

遺産相続で揉めるケースについて、次の項目別で解説していきます。
・相続トラブルは年々増加傾向
・遺産相続で揉める金額は5,000万円以下が多い
・遺産相続額が少なくても争いになる可能性はある

相続に関するトラブルは誰にでも起こりうる問題であるため、しっかりと対策を考えておかなければなりません。

相続トラブルの現状について、以下で詳しく解説していきます。

相続トラブルは年々増加傾向

家庭裁判所が公表している司法統計資料によると、遺産相続に関するトラブルは年々増加している傾向です。

2002年の遺産分割問題の事件数は9,148件であったのに対し、2022年には12,981件となっており、20年間で約1.4倍に増加しています。

一時的に事件数が減少した年もありますが、以前に比べると全体的に相続トラブルが増えてきていると判断できるでしょう。

遺産相続で揉める金額は5,000万円以下が多い

遺産相続で揉める金額帯としては、5,000万円以下のケースがもっとも多いとされています。

2022年に発生した遺産分割をめぐった事件のうち、調停成立となった総件数は5,915件ですが、そのうち遺産額1,000万円以下は2,322件、5,000万円以下は2,954件です。

1億円以下は803件、5億円以下は525件と大きく件数が少なくなり、相続トラブルの多くは5,000万円以下の金額であると判断できます。

5,000万円以下の金額帯は、多くの中間所得層の家庭に該当し、一般的な資産として一戸建ての住宅や中古車・貯蓄などが主な相続財産となるケースが多いでしょう。

遺産相続額が少なくても争いになる可能性はある

遺産の総額が少ないからといって、トラブルが発生しないわけではありません。

家庭裁判所の統計資料でも、相続トラブルが発生するのは遺産額が5,000万円以下のケースがもっとも多いとしており、少ない金額でも争いとなる可能性があります。

遺産相続のトラブルは多額の資産がある人に起こるものといったイメージがあるせいか、「遺産額が少ないから揉めないだろう」と考えてしまう人も多いでしょう。

しかし実際には遺産額が少なくても争いが起きやすい傾向にあるため、自分事と考えて対策を講じる必要があります。

遺産相続で揉める主な原因

遺産相続で揉める主な原因として挙げられるのは、以下の3つです。
・不動産などの分けにくい相続財産がある
・相続関係が複雑になっている
・遺言書がある

遺産相続は家族間の信頼関係や資産の分配をめぐる問題であり、さまざまな要因によってトラブルが発生する可能性があります。

とくにトラブルの原因となりやすい3つのケースについて、次で一つずつ確認していきましょう。

不動産などの分けにくい相続財産がある

遺産相続の際に揉める原因として、相続財産に土地や住宅・マンションなどの不動産があるケースが挙げられます。

不動産は、現金や預貯金とは異なり、物理的に分割しにくい財産です。

相続人が一人しかいない場合であればそのまま相続できますが、複数人の相続人がいるケースでは不公平感が生じやすく、争いに発展する可能性もあるでしょう。

不動産を受け継いだ人がほかの相続人に対価を支払う方法や、不動産を売却して得たお金をわける方法など、分割方法については慎重に判断する必要があります。

相続関係が複雑になっている

相続において、家族構成や関係が複雑化すると、相続をどのように分配すべきかの判断が難しくなります。

たとえば故人が再婚していた場合、離婚した配偶者は相続人になれませんが、離婚した配偶者との子どもは相続人になります。

複数の配偶者との子ども、さらには孫がいる場合は、相続人となる対象者が多く、相続手続きが難航しやすいといえるでしょう。

複雑な関係性が交錯する中で、遺産の分割や取り決めをするのは困難であるため、結果としてトラブルの原因となる可能性が高いです。

遺言書がある

遺言書は、死後にどのように遺産をわけたいかを示す法的な文書ですが、遺言書によってトラブルが発生するケースもあります。

たとえば、遺言書の内容が不明確であったり、公平さを欠いた内容であったりした場合、争いの原因となりやすいです。

遺言書に不満をもつ相続人がいると揉める可能性が高くなるため、各相続人の意向も確認しておく必要があります。

なお、遺言書がある場合は遺言の内容に沿って遺産分配するのが原則ですが、相続人全員の合意があれば、相続人間の話し合いで分割方法を決めることも可能です。

遺産相続でトラブルを回避するためのポイント

遺産相続でトラブルを回避するためのポイントは、次の3つです。
・遺言書を用意する
・遺産分割協議を行う
・専門家に参加してもらう

前もって適切な対策や準備を行っておくと、相続人間のトラブルを回避できる可能性があります。

スムーズに相続を進めるための各ポイントを、以下で詳しく見ていきましょう。

遺言書を用意する

遺言書があると、遺言書の記載通りに遺産分割ができるため、遺産のわけ方をめぐったトラブルの発生防止になります。

遺言書には遺言者が自筆で作成する「自筆証書遺言」と、公証人に作成してもらう「公正証書遺言」、遺言内容の漏洩を防げる「秘密証書遺言」の3種類があります。

相続発生時に無効となってしまっては意味がないため、確実性の高い公正証書遺言を作成するのがおすすめです。

なお、遺言書の内容によっては、相続人間で争う原因となってしまう可能性もあるので注意しましょう。

遺産分割協議を行う

遺産相続をスムーズに行うために、遺産分割協議は非常に重要です。

遺産分割協議とは、相続人全員が参加する話し合いを指し、遺産の具体的な分割方法を決定する手段です。

遺言書がのこされていない場合は、基本的に遺産分割協議で遺産のわけ方を決める必要があります。

相続人同士の話し合いで各相続人の意向や考えを確認し、共通の認識をもつことによって、後から生じる誤解や不満の減少が期待できます。

専門家に参加してもらう

相続人間のトラブルを避けたいなら、事前に専門家である弁護士に相談しておくのも有効です。

弁護士に相談すると、遺産相続の正しい考え方を理解した上で、適切な遺言書作成のサポートを受けられます。

また、相続時にトラブルが発生した場合でも、弁護士に相談していればトラブル解決の過程をスムーズに進められるでしょう。

第三者の立場からのアドバイスは、感情が高ぶる中でも冷静な判断を期待できるメリットがあります。

遺産相続で揉めるのを防ぐには事前の対策が重要

遺産相続に関するトラブルは、遺産の金額にかかわらず、誰にでも起こりうる問題です。

家庭裁判所にもち込まれる相続問題は年々増加傾向にあるため、揉め事が深刻化する前の対策が重要となります。

相続人間での争いを防ぎたいなら、早い段階で遺言書を用意しておくのが有効です。

必要に応じて専門家への相談も検討し、スムーズに相続手続きを進められるよう準備しておきましょう。

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