相続手続きの期限一覧|手続きごとの期限
〇この記事を読むのに必要な時間は約8分19秒です。
相続が発生した際に必要な手続きは多岐にわたり、それぞれに期限が設定されています。
期限が過ぎてしまうとデメリットが生じる可能性もあるため、適切なタイミングで手続きを進めていかなくてはなりません。
そこで今回の記事では、期限が設定されている遺産相続手続きを詳しく紹介していきます。
時系列順でまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
遺産相続手続きの期限一覧
遺産相続で期限が設定されている主な手続きは、以下のとおりです。
・【7日以内】死亡届と火葬許可申請書の提出
・【14日以内】健康保険資格喪失・年金受給停止・世帯主の名義変更
・【3ヶ月以内】遺産の相続放棄と限定承認
・【4ヶ月以内】所得税の準確定申告
・【10ヶ月以内】相続税の申告・納付
・【1年以内】遺留分侵害額請求
・【3年以内】死亡保険金の請求
・【3年以内】相続不動産の名義変更(相続登記)
・【5年以内】遺族年金の受給手続き
スムーズに相続手続きを進めるためには、これらの期限を把握しておく必要があります。
各手続きについて、以下で一つずつ確認していきましょう。
【7日以内】死亡届と火葬許可申請書の提出
被相続人が亡くなり相続が発生した後、7日以内に行うべきなのは死亡届と火葬許可申請書の提出です。
死亡が確認され、医師から死亡診断書または死体検案書を受け取ったら、7日以内に死亡届を市区町村役場へ提出しましょう。
また火葬を行うためには火葬許可が必要となるため、死亡届とあわせて火葬許可申請書も提出しておくのが一般的です。
【14日以内】健康保険資格喪失・年金受給停止・世帯主の名義変更
相続開始から14日以内に行う必要があるのは、主に以下の手続きです。
・健康保険の資格喪失手続き
・介護保険の資格喪失手続き
・年金の受給停止
・世帯主の名義変更
・公共料金などの名義変更・解約
死亡届提出後は、まず被相続人が加入していた保険の資格喪失手続きを行います。
被相続人の状況によっては、年金の受給停止や世帯主の名義変更、公共料金の名義変更などの手続きも必要です。
【3ヶ月以内】遺産の相続放棄と限定承認
遺産の相続放棄と限定承認の期限は、相続開始を知ってから3ヶ月です。
相続放棄とは、相続人となる人が遺産を相続する権利を放棄する手続きです。
一方限定承認とは、相続したプラス財産の範囲内を限度として、マイナスの財産も引き継ぐ相続方法を指します。
期限内に相続放棄もしくは限定承認の手続きを行わなかった場合、被相続人のプラスの財産とマイナスの財産すべてをそのまま引き継ぐ(単純承認)とみなされます。
【4ヶ月以内】所得税の準確定申告
被相続人が所得税の確定申告を行うべき人であった場合、相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に相続人が「準確定申告」を行う必要があります。
準確定申告とは、亡くなった人の代わりに相続人などが確定申告を行うことです。
被相続人に申告が必要な所得がなければ、準確定申告の手続きは不要となります。
ただし、申告が必要であるにもかかわらず期限を過ぎてしまうと、延滞税が課される可能性もあるため注意しましょう。
【10ヶ月以内】相続税の申告・納付
相続税の申告・納付期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月です。
この期限までに相続財産の評価や相続税額の計算を進め、申告だけでなく納税まで行う必要があります。
期限内の正確な申告と納付によって、延滞税や過少申告加算税などのペナルティを避けられます。
【1年以内】遺留分侵害額請求
遺留分侵害額の請求権は、相続の開始および遺留分が侵害された事実を知ってから1年間行使できます。
遺留分とは相続人に法律で確保された最低限の財産相続割合を指し、不平等な遺贈や贈与があった場合は遺留分侵害額に相当する金銭の請求が可能です。
なお遺留分侵害額請求を行えるのは相続開始と遺留分侵害を知ってから1年間ですが、知らなかったとしても相続開始から10年経過すると請求権は消滅します。
【3年以内】死亡保険金の請求
死亡保険金の請求期限は、一般的に死亡した日の翌日から3年間です。
被相続人が生命保険に加入していた場合は、忘れずに保険会社へ死亡保険金の請求を行いましょう。
期限を過ぎてしまうと保険金を受け取る権利が失われる可能性があるため、早めの手続きが推奨されます。
【3年以内】相続不動産の名義変更(相続登記)
相続した不動産の名義変更(相続登記)については、2023年まで期限がありませんでしたが、2024年4月1日以降は期限が設けられます。
そのため、相続により不動産の所有権を取得した人は、取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
正当な理由なく申請を行わなかった場合には、10万円以下の過料が科される可能性もあるので注意が必要です。
【5年以内】遺族年金の請求
相続人に遺族年金の受給資格がある場合、被相続人が亡くなった日の翌日から5年以内に受給手続きを行う必要があります。
期限をすぎると遺族年金を受け取れなくなってしまうため、忘れずに請求しましょう。
なお請求するタイミングが遅くなったとしても、5年以内の期間であればさかのぼって受給できます。
期限が定められていない相続手続き
遺産相続手続きの中には、以下のように特定の期限が定められていないものもあります。
・遺言書の検認
・遺産分割協議
・銀行口座の名義変更や預金の払い戻し
期限がなくても相続発生時の重要な手続きであるため、適切なタイミングで行いましょう。
それぞれの手続きについて、以下で具体的に解説していきます。
遺言書の検認
期限が定められていない相続手続きの一つに、遺言書の検認があります。
被相続人が残した遺言書の種類が「自筆証書遺言」、もしくは「秘密証書遺言」であった場合、家庭裁判所での検認が必要です。
検認をしないままでいると、預貯金の払い戻しや不動産の名義変更ができないため早めに行っておくのが望ましいです。
なお検認が必要な遺言書を勝手に開封すると、法律違反として罰せられる可能性もあるので注意しましょう。
遺産分割協議
遺産分割協議とは相続人全員が参加する遺産の分け方についての話し合いで、明確な期限が設定されていない相続手続きの一つです。
遺産分割協議をしないままでいると、相続財産は相続人全員の共有状態となり、財産の名義変更などの手続きを進められません。
円滑な相続のためには早期に行っておく必要があるため、相続人同士でもめていて話し合いが進まない場合には専門家への相談も検討しましょう。
銀行口座の名義変更や預金の払い戻し
被相続人の銀行口座の名義変更や預金の払い戻しには、原則として期限は設けられていません。
ただし、民法では債権の時効は5年と定められており、預金債権においても時効が適用される可能性があります。
また10年以上口座を使用しないままでいると、休眠口座となり民間公益活動に使われてしまうケースもあるため、早めに手続きをしておくのが望ましいです。
遺産相続手続きの期限に注意!悩んだら専門家に相談しよう
遺産相続手続きをスムーズに進めるためには、各手続きの期限を把握しておく必要があります。
しかし、相続手続きは複雑な要素が多く、すべてを自分で行おうとすると負担が大きくなりやすいでしょう。
相続に関する疑問や不安がある場合は、内容に応じて司法書士や税理士、弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。
相続登記であれば司法書士、相続税の申告であれば税理士、相続全般や相続人同士のトラブルであれば弁護士に相談するのが適しています。
弁護士法人ふくい総合法律事務所
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