相続による土地の名義変更の流れ

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分8秒です。

被相続人が所有していた土地を相続した際は、名義変更(相続登記)手続きを行う必要があります。

しかし、土地の名義変更とはそもそもどのような手続きなのか、どのように進めればいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、相続における土地の名義変更について、概要や手続きの流れを解説します。

自分で名義変更を行う際のメリットとデメリットも紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

 

相続した土地の名義変更(相続登記)とは

相続した土地の名義変更(相続登記)とは、相続により土地の所有権が移転したことを法的に記録する手続きです。

名義変更を行わなければ、現在の土地の所有者が誰になるのかが把握できなくなってしまいます。

以前まで不動産の名義変更は義務ではありませんでしたが、法改正によって令和6年4月1日から義務化されました。

相続や遺言で不動産を取得した相続人は、所有権の取得を知った日から、もしくは遺産分割が成立した日から3年以内に名義変更を行わなければなりません。

正当な理由なく期限までに手続きしなかった場合、10万円以下の過料の適用対象となるため注意が必要です。

 

土地の相続と名義変更手続きの流れ

土地の相続と名義変更手続きの基本的な流れは、次のとおりです。
・遺言書を確認する
・相続する土地の名義を確認する
・相続人を確定させる
・遺産分割協議を行う
・必要書類を準備する
・法務局で土地の名義変更を行う
・相続税を申告し納付する

事前に流れを把握しておくことで、スムーズに相続手続きを進められます。

各工程について、以下で詳しく確認していきましょう。

遺言書を確認する

被相続人の死亡により相続が開始したら、まず遺言書の確認が必要です。

自宅のほかにも、公証役場や法務局で保管されている場合もあるため、遺言書があるかどうかは念入りに調べておきましょう。

有効な遺言書がある場合、原則として遺言書の内容に従って相続財産を分割します。

遺言書がない場合は、相続人全員が参加する遺産分割協議によって遺産分割の内容を決定します。

相続する土地の名義を確認する

名義変更手続きをする前に、相続の対象となる土地の名義を確認する必要があります。

過去の相続で名義変更をしておらず、先代の名義のままになっている可能性もあるためです。

先代の名義になっている場合は、まず先代から被相続人に名義を変更しなければなりません。

手続きがやり直しとなる事態を防ぐためにも、事前の名義の確認は必須です。

土地を含む不動産の名義を調べる際には、最寄りの法務局で登記事項証明書を取得するといいでしょう。

相続人を確定させる

遺言書がない場合、相続手続きを進めるためには相続人の確定が必要です。

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せ、被相続人の相続関係を洗い出しましょう。

配偶者は常に相続人となりますが、配偶者以外は子ども、父母・祖父母、兄弟姉妹の順で相続する権利が決まります。

戸籍謄本の確認によって、親族の中で誰に相続する権利があるのかが明確になります。

遺産分割協議を行う

遺言書がなく、相続人が二人以上いる場合には、遺産分割協議を行う必要があります。

遺産分割協議とは、被相続人の財産をどのように分配するかを相続人全員で話し合う手続きです。

協議が合意に至った場合は、遺産分割協議書を作成しましょう。

遺産分割協議書は法務局で名義変更する際に必要となる書類の一つで、相続人全員の署名と実印のほか、印鑑証明書の添付も求められます。

必要書類を準備する

土地の名義変更手続きをする際は、以下のような書類の準備が必要です。
・登記申請書
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
・相続人の戸籍謄本
・相続人の住民票
・固定資産課税明細書
・遺言書または遺産分割協議書
・相続関係説明図

市区町村役場から取得できる書類のほか、作成しなければならない書類もあります。

具体的な必要書類は相続の状況によっても異なるため、確認した上でもれなく準備するようにしましょう。

法務局で土地の名義変更を行う

必要書類が揃ったら、土地の所在地を管轄する法務局で名義変更手続きを行います。

名義変更は法務局の窓口のほか、郵送による申請も可能です。

申請が認められると、1週間~2週間程度で登記完了証と登記識別情報通知書が交付されます。

あらかじめ通知されている完了予定日を確認し、窓口または郵送で受け取りましょう。

登記識別情報通知は対象の不動産の登記名義人であることを証明できる重要な書類であるため、紛失しないよう大切に保管するようにしてください。

相続税を申告し納付する

相続税がかかる場合は、相続税の申告と納付も忘れずに行っておきましょう。

申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内となっています。

期限までに申告をしなかった場合、加算税や延滞税といったペナルティを課される可能性もあるため注意してください。

相続税の計算や申告に不安がある場合は、専門家に相談してアドバイスを受けるのも一つの手段です。

 

相続した土地の名義変更を自分で行うメリット・デメリット

相続した土地の名義変更を自分で行う際は、メリットとデメリットの両方があります。
・名義変更を自分で行うメリット
・名義変更を自分で行うデメリット

自分で行うか専門家に依頼するか悩んだときは、メリットとデメリットを基準にして判断するのがおすすめです。

具体的な内容について、以下で詳しく解説していきます。

名義変更を自分で行うメリット

名義変更を自分で行う最大のメリットは、費用を抑えられる点です。

専門家に依頼すると、司法書士などの依頼費用がかかりますが、自分で手続きを行う際は必要書類の取得費用や登録免許税のみになります。

また自分で手続きを進めると、手続きの進行状況を把握できるため、スケジュール管理がしやすくなる利点もあります。

相続状況が複雑でなく、手続き費用を節約したい場合には、自分で行った方がメリットが多いといえるでしょう。

名義変更を自分で行うデメリット

名義変更を自分で行う際には、手間と時間がかかるデメリットがあります。

法務局には複数回出向く必要があり、平日の日中に時間がとれない人は負担に感じやすいでしょう。

また、登記申請書や提出書類に不備があった場合の修正対応を、自分で行わなければならない点もデメリットです。

相続する土地が複数あったり、相続関係が複雑であったりする場合は、専門家に名義変更を依頼した方がスムーズに手続きを進められます。

 

相続した土地の名義変更で悩んだら専門家に相談しよう

相続した土地の名義変更は、多くの法的手続きや書類準備が伴うため、はじめて行う人にとっては複雑に感じるかもしれません。

少しでも不安を感じたり悩んだりした場合には、司法書士などの専門家に相談するのをおすすめします。

相続問題を得意とする専門家のサポートを受けられれば、手続きの正確性が保証されるだけでなく、自分自身の負担を大幅に軽減できます。

とくに相続関係が複雑化しているケースや、複数の不動産の名義変更が必要なケースでは、安心して相続手続きを進めるために専門家への依頼を検討してみてください。

 

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