不動産相続の流れと種類

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分4秒です。

相続が発生すると、さまざまな手続きを行わなければなりません。

とくに不動産の相続に関しては、何をどのように進めていけばいいかわからないという人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、不動産を相続する手続きの流れや、相続不動産の分け方について解説していきます。

不動産の相続手続きをスムーズに進めるためにも、ぜひ最後までご覧ください。

不動産を相続する手続きの流れ

不動産の相続は、基本的に以下のような流れで手続きを進めます。
・遺言書の有無を確認
・相続人と相続財産を確定
・遺産分割協議
・相続財産の名義変更(不動産の相続登記)
・相続税の申告と納付

手続きの流れを理解できれば、スムーズな相続手続きが可能になります。

不動産相続の各ステップについて、以下で一つずつ確認していきましょう。

遺言書の有無を確認

相続が発生した際にまず確認すべきなのは、亡くなった人が遺言書を残しているかどうかです。

遺言書がある場合、基本的にその内容に従って不動産を含むすべての財産の分配を行います。

遺言書が存在しない場合は、相続人全員が参加する遺産分割協議によって遺産の分け方を決定します。

相続人と相続財産を確定

遺言書の有無を確認した後、次に行うべきは相続人と相続財産の確定です。

誰が相続人となるかを確認するためには、亡くなった人の戸籍謄本を取り寄せて調べる必要があります。

後から新たな相続人が発覚した場合、一度合意した遺産分割協議をやり直さなくてはならないため、しっかり調査しましょう。

相続人が確定したタイミングで、亡くなった人の財産を特定して財産目録を作成する作業も必要です。

相続財産に不動産が含まれているかどうかは、市区町村から届く固定資産税の課税明細書で確認できます。

遺産分割協議

遺言書が残されていない場合は、相続人全員が参加する遺産分割協議で分け方を決定します。

相続人全員が参加していない遺産分割協議は無効となるため、必ず全員が参加できるように調整しましょう。

誰がどの財産を引き継ぐかが決まったら、合意した内容をまとめた遺産分割協議書を作成し、相続人全員の署名・押印を行います。

遺産分割協議では相続人同士で揉める可能性もあるため、必要に応じて弁護士への相談を検討してみてください。

相続財産の名義変更(不動産の相続登記)

不動産を相続する人が決まったら、相続登記と呼ばれる不動産の名義変更手続きが必要です。

相続登記によって、不動産の名義が被相続人から相続人に変更されます。

相続登記では多くの書類を準備する必要があるため、一つひとつ確認しながら着実に進めていきましょう。

なお不動産の相続が決まったのにもかかわらず相続登記をしないで放置していると、過料などのペナルティが課される可能性もあるため忘れずに行ってください。

相続税の申告と納付

不動産を含む相続財産の総額が一定の基準を超える場合、相続税の申告と納付が必要です。

相続税の申告・納付期限は、通常の場合は被相続人の死亡の日の翌日から10ヶ月以内となっています。

期限内に行うためには、相続発生後の手続きをできるだけ早い段階で進めていくことが大切です。

相続税を申告・納付せずに期限が過ぎてしまうと、無申告加算税や延滞税を課せられる可能性もあるので注意しましょう。

相続不動産の分け方は4種類

相続する不動産の分け方は、大きく以下の4種類に分けられます。
・そのまま分けられる現物分割
・相続した人が代償金を支払う代償分割
・売却したお金を分ける換価分割
・複数人で所有する共有分割

各相続人の状況やニーズに合わせて、適切な方法を選択する必要があります。

それぞれの分割方法にどのような特徴があるのか、次で具体的に見ていきましょう。

そのまま分けられる現物分割

現物分割は、不動産をそのままの状態で分割する方法です。

たとえば、被相続人が2つの不動産を所有していた場合に、相続人が2人いてそれぞれ相続するといった分け方は現物分割に該当します。

この方法は、相続する不動産を売却せずに保持したい場合や、相続手続きをできるだけ簡単に済ませたい場合に適しています。

現物分割のメリットは財産の現状維持が可能な点ですが、価値の異なる不動産を分ける場合に揉めやすいリスクもあるので注意が必要です。

相続した人が代償金を支払う代償分割

代償分割は、一部の相続人が不動産を現物のまま取得し、ほかの相続人にその価値に相当する金銭を支払う方法です。

たとえば、相続財産が評価額3,000万円の不動産のみで、相続人が長男と次男の2人であるケースを想定してみましょう。

本来であれば1,500万円分ずつ相続するのが一般的であるため、長男が単独で不動産を相続した場合、長男は相続していない次男に対して1,500万円の代償金を支払います。

代償分割のメリットは、不動産を維持しつつ公平に分配できる点です。

しかし、相続する人は代償金を自身の財産から支払わなくてはならないため、十分な資力がなければ難しい分割方法と言えます。

売却したお金を分ける換価分割

換価分割は、相続する不動産を売却し、得られた資金を相続人間で分配する方法です。

この方法は、相続人が不動産の維持や管理に関心がない場合や、不動産の価値を均等に分割したい場合に適しています。

現金化によって財産の清算ができるため、公平に分けられるのが換価分割のメリットです。

しかし、買い手が見つからないような不動産であった場合、現金化自体が難しくなる可能性もあるでしょう。

複数人で所有する共有分割

共有分割は、不動産を複数の相続人が共有名義で相続する方法です。

たとえば、被相続人の家族が自宅を共有して保持し続けたい場合などに、共有分割を行えば家族全員の名義で不動産を保有できます。

この方法は、相続人が不動産を売却したくない場合や、特定の不動産に対して共通の価値観をもっている場合に適しています。

ただし、共有名義は不動産を処分するときや相続人の1人が亡くなったときの手続きが複雑になり、トラブルに発展する可能性もあるため慎重な判断が必要です。

不動産相続の必要書類

不動産を相続する際は相続登記を行わなければならず、手続きには以下のような書類が必要となります。
・戸籍謄本
・不動産相続人の住民票
・被相続人の住民票の除票
・固定資産評価証明書
・遺産分割協議書
・登記申請書
・相続人全員の印鑑証明書
・遺言書
・相続関係説明図

遺言書による相続や遺産分割協議による相続など、相続する状況によっても必要書類は異なります。

すべての書類を一人でそろえるのは非常に手間がかかるため、不安な場合は専門家への依頼も検討してみてください。

不動産の相続手続きは複雑なため専門家への依頼がおすすめ

不動産の相続は複雑で、手間や時間のかかる手続きが多いです。

必要書類の準備に手間取ったり、分割方法に合意できず相続人同士のトラブルに発展したりするケースもあるでしょう。

相続登記や相続税の申告・納付には期限があるため、相続手続きはできる限り速やかに進めていく必要があります。

不動産の相続に関する複雑な問題に直面した際は、状況に応じて専門家へ相談してみるのがおすすめです。

相続人間のトラブルであれば弁護士、相続登記であれば司法書士、相続税の申告であれば税理士に依頼するのが適しています。

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