相続手続きは自分でできる?自分で進める流れとデメリット

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分21秒です。

相続手続きには、相続人の確定から財産の分割、相続税の支払いに至るまで、多くのステップがあります。

相続は多くの人にとって馴染みのある手続きではないため、どのように進めればいいのか、専門家に依頼せず自分だけでできるのかなど、さまざまな疑問が生じるでしょう。

今回の記事では、相続手続きを自分で進められるケースや、専門家に依頼した方がいいケースを紹介します。

自分で相続手続きを行う際の流れやデメリットについても解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

 

相続手続きは自分でできる?ケース別に解説

相続手続きは自分だけでも進められますが、複雑な状況や特定の条件がある場合には、専門家への依頼が推奨されます。
・自分で相続手続きを進める検討をしてもいいケース
・専門家に相続手続きを依頼すべきケース

相続手続きが複雑になるかどうかは、相続の状況や財産の内容、相続人の関係性などによっても異なります。

自分で行うか専門家に依頼するかを判断する際の目安として、いくつかの相続ケースを確認していきましょう。

自分で相続手続きを進める検討をしてもいいケース

以下のようなケースに該当すれば、自分で相続手続きを行っても問題ない場合が多いです。
・相続人が配偶者と子どものみ
・財産総額が少なくトラブルにならない
・相続財産に不動産が含まれていない
・平日の日中に手続きの時間を取れる

相続手続きでは複雑な問題が発生するケースも少なくないため、専門家のサポートを受けた方が負担を軽減できます。

しかし、上記で挙げたケースに当てはまり、手間や時間がかかっても根気強く対応できるのであれば、自分でも手続きを進められるでしょう。

専門家に相続手続きを依頼すべきケース

専門家に相続手続きを依頼すべきケースとして、次のような状況が挙げられます。
・兄弟姉妹の相続や代襲相続が発生する
・相続人間で意見の対立がある
・相続財産に不動産が含まれている
・借金やローンなどマイナスの財産が多い
・遺言書の内容が不公平
・相続税の計算と納税が必要
・急いで相続手続きを進める必要がある

これらのケースでは相続手続きが複雑になりやすく、自分だけで行うのは難しい場合が多いです。

状況に応じて弁護士や税理士、司法書士などの専門家に相談することで、適切に手続きを進められるでしょう。

 

自分で相続手続きを行う際の流れ

自分で相続手続きを行う際の一般的な流れは、次のとおりです。
・相続人の調査
・相続財産の確定
・遺産分割協議
・相続財産の名義変更や預貯金の払い戻し
・相続税の申告と納税

相続手続きでは複雑な問題も多く発生するため、一連の流れを理解し、着実に進めていく必要があります。

各工程で行う手続きについて、以下で具体的に見ていきましょう。

相続人の調査

相続手続きでは、まず財産を継承する権利のある相続人を特定する必要があります。

相続人を調べる際は、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得し、親族関係を確認しましょう。

戸籍謄本は、亡くなった人の本籍地の市町村役場で取得できます。

相続人の調査に漏れがあり、後から相続人が発覚すると、相続手続きをやり直さなければならないケースもあるため注意してください。

相続財産の確定

相続人の調査とあわせて、相続財産も調べて確定させましょう。

相続財産には、以下のような亡くなった人が所有していた財産すべてが含まれます。
・現金・預貯金
・有価証券
・不動産
・貴金属
・美術品
・自動車
・借入金
・未払いの医療費や税金

預貯金や不動産などプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も相続の対象となります。

遺産分割協議

相続人と相続財産が確定したら、遺産分割協議を行います。

遺産分割協議は相続人全員が参加する話し合いで、誰がどの財産を相続するのか、具体的な遺産分割方法を決定します。

相続人全員が合意できたら、合意した内容をもとに遺産分割協議書を作成しておきましょう。

なお亡くなった人の遺言書が残されていた場合、基本的に遺言書の内容に従って遺産分割を行うため、遺言書の内容に問題がなければ遺産分割協議を行う必要はありません。

相続財産の名義変更や預貯金の払い戻し

遺産分割協議が終了し、各相続人に分配される財産が決定したら、相続財産の種類に応じて以下のような手続きを行います。
・不動産の相続登記
・預貯金の払い戻し
・株式の名義変更
・自動車の名義変更

相続財産の種類によって必要な手続きや用意する書類が異なるため、確認しながら慎重に進めましょう。

相続税の申告と納税

相続財産の金額が大きく、相続税が課税される場合は、相続税の申告と納税が必要です。

相続税の申告と納税は、原則として相続開始の翌日から10ヶ月以内に行わなければなりません。

期日に間に合うよう、相続人の調査や遺産分割はなるべく早めに進めておきましょう。

なお相続税の計算や申告は複雑なため、相続税の納税が必要な場合には税理士などの専門家に相談するのが望ましいです。

 

自分で相続手続きを行うデメリット

自分で相続手続きを行うデメリットとして挙げられるのは、次の3点です。
・時間と手間がかかる
・不備や抜け漏れのリスクがある
・急なトラブルに対応できない

専門家に依頼せずに相続手続きを進めたい場合は、これらのデメリットも考慮した上で検討するようにしましょう。

それぞれのデメリットについて、以下で詳しく解説していきます。

時間と手間がかかる

自分で相続手続きを行うデメリットの一つは、時間と手間がかかる点です。

相続人や財産の調査・遺産分割・相続税申告など、相続手続きは工程が多く、それぞれに細かな手続きが伴います。

また必要書類を集めるためには、平日の日中に市区町村役場や金融機関、公共機関に出向かなければなりません。

とにかく作業量が多いため、仕事や家庭の都合で時間が取れない人は負担が大きいと感じやすいでしょう。

不備や抜け漏れのリスクがある

自分で相続手続きを行う場合、書類準備や手続きにおいて不備や抜け漏れが発生するリスクがあります。

書類不備による再提出で余計な時間がかかってしまい、必要な手続きの期限が迫ってしまう可能性もあるでしょう。

また相続税の申告において、財産の評価漏れや計算ミスがあると、税の加算などのペナルティが発生するケースも考えられます。

急なトラブルに対応できない

相続では、ほかの相続人とのトラブルにつながるケースも少なくありません。

たとえば遺産分割協議で意見が対立した際、適切に対処できなければ手続きが滞り、相続税の申告期限が過ぎてしまう場合があります。

また調停や裁判に発展し、余計な手間や時間、手数料がかかってしまう可能性もあります。

自分で相続手続きを進めている最中になんらかのトラブルが発生した場合は、すぐに弁護士などの専門家へ相談するようにしましょう。

 

相続手続きは自分でもできるが専門家への相談も検討しよう

相続手続きは自分でも行えますが、相応の時間と労力がかかり、不備や抜け漏れによるリスクもあります。

自分で手続きを進める場合でも、不安や疑問があれば、弁護士や税理士などの専門家に相談してみるのがおすすめです。

相続問題に注力している専門家であれば、相談者の状況に応じた適切なアドバイスをしてくれるため、複雑な手続きもスムーズに進められる可能性が高まります。

相続に関する問題が発生した際は一人で抱え込まず、専門家の力を借りながら解決を目指しましょう。

 

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