相続財産調査とは?財産調査が必要な理由

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分19秒です。

相続手続きを進める上で、被相続人の財産を正確に把握するための「財産調査」は欠かせない手続きです。

しかし、なぜ財産調査が必要なのか、どのように進めればいいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、相続における財産調査の重要性や具体的な調査方法について詳しく解説します。

専門家への依頼が適しているケースについても解説するため、財産調査の進め方に不安がある場合はぜひ参考にしてみてください。

 

相続における財産調査とは?

相続における財産調査とは、被相続人が残した財産の内容を明らかにするための手続きです。

預貯金や不動産・株式といったプラスの財産だけでなく、借金や未払いの税金などマイナスの財産も含めて調査します。

この調査を通じて、相続人は財産の全体像を把握し、適切な相続手続きや意思決定を行うための準備を整えられます。

財産調査を怠ると、不要なトラブルや相続税の申告漏れにつながるリスクがあるため、慎重に進めるようにしましょう。

 

相続手続きで財産調査が必要となる理由

相続手続きで財産調査が必要となる主な理由は、次のとおりです。
・相続放棄や限定承認の判断をするため
・相続人が遺産分割を行うため
・相続税を計算して正しく申告するため

これらの理由から、被相続人の財産を正確に調査する必要があります。

財産調査が必要となる具体的な理由について、以下で一つずつ確認していきましょう。

相続放棄や限定承認の判断をするため

財産調査を行う理由の一つは、相続放棄や限定承認をするかどうか判断するためです。

相続放棄は一切の財産を相続せず放棄する手続きで、プラスとなる財産よりもマイナスの財産(借金など)が多い場合に選択します。

対して限定承認は、プラスの財産の範囲内でのみマイナスの財産を相続する手続きです。

一般的に、借金があるものの残したい特定の財産がある場合などに選択します。

そのまま相続するか、相続放棄もしくは限定承認するかを適切に判断するには、財産の全体像を正確に把握する必要があります。

相続人が遺産分割を行うため

財産調査は、遺産分割の話し合いを進めるためにも必要です。

相続人が複数いて遺言書が残されていない場合は、遺産分割協議を行って誰がどの財産を相続するか決定します。

しかし、相続財産の内容が不明確なままだと正しく協議を進められません。

相続人全員が納得した上で遺産を分配するためにも、事前に財産の種類や価値を調査しておきましょう。

相続税を計算して正しく申告するため

相続税を計算し、正しく申告するためにも財産調査は不可欠です。

相続税を申告するには、被相続人が保有していたすべての財産の価値を明確にしなければなりません。

調査を怠って申告漏れや過少申告となった場合、ペナルティを課される可能性もあります。

相続における財産調査は、正確な相続税申告の第一歩ともいえる手続きです。

 

【相続財産別】財産調査の方法

相続財産にはさまざまな種類があり、それぞれに適した調査方法があります。

ここでは、代表的なものとして以下の相続財産の調査方法を解説します。
・預貯金を調査する方法
・不動産を調査する方法
・借金や債務の調査方法

被相続人が保有していた財産を正確に把握することで、相続手続き全体をスムーズに進められるでしょう。

預貯金を調査する方法

預貯金を調査するには、被相続人が利用していた金融機関を特定する必要があります。

まずは被相続人の通帳やキャッシュカード、過去の郵便物などが残っていないか確認しましょう。

金融機関が判明したら、残高証明書の発行を依頼することで正確な金額を把握できます。

残高証明書の発行には戸籍謄本などの提出が求められるため、事前に必要書類を確認してから手続きを進めるようにしてください。

不動産を調査する方法

不動産の所有者には、毎年固定資産税の納付書と課税明細書が届きます。

被相続人の自宅に郵便物が残っていれば、所有していた不動産の確認が可能です。

郵便物が見つからない場合や記載のない不動産がある場合は、「名寄帳」という所有不動産の一覧表で確認します。

名寄帳を取り寄せる際は、不動産の所在地を管轄している市区町村役場に請求しましょう。

対象の不動産が複数箇所にある場合は、それぞれの市区町村役場に請求が必要です。

借金や債務の調査方法

借金や債務を調査する際は、被相続人の借入残高を示す書類や郵便物を確認します。

借り入れや返済の記録が残っているケースもあるため、金融機関の取引履歴も確認しておきましょう。

借り入れ先が特定できない場合には、以下の信用情報登録機関に問い合わせることで判明するケースもあります。
・全国銀行個人信用情報センター
・JICC
・CIC

借金の調査は相続放棄や限定承認の判断にも直結するため、漏れなく調査しましょう。

 

相続財産の調査を専門家に依頼すべきケース

相続財産の調査を弁護士や税理士・司法書士といった専門家に依頼した方がいいケースは、次のとおりです。
・相続財産をまったく把握できていない場合
・不動産が含まれている場合
・平日の日中に時間がとれない場合

相続財産の調査は、被相続人の財産状況や相続人の状況によって複雑化する可能性があります。

専門家への依頼を検討すべき具体的なケースについて、以下で確認していきましょう。

相続財産をまったく把握できていない場合

被相続人の財産についてまったく情報がない場合は、専門家に依頼するのがおすすめです。

ゼロからすべての財産を調査するのは、非常に手間と時間がかかります。

自力で財産調査をするのが難しいケースや時間がないケースでは、専門家に任せた方がスムーズに進められるでしょう。

その後の相続手続きに関してもサポートが受けられるため、不安がある場合はまず専門家への相談を検討してみてください。

不動産が含まれている場合

相続財産に不動産が含まれている場合も、専門家に依頼することをおすすめします。

不動産はその所在地や評価額を正確に把握しなければならず、個人での調査が難しいケースがあるためです。

とくに不動産が複数ある場合や権利関係が複雑な場合は、専門家に調査を依頼した方がミスなく手続きを進められます。

遺産分割や相続税申告をスムーズに行うためにも、専門家への相談を検討しましょう。

平日の日中に時間がとれない場合

相続財産の調査では、平日の日中に各機関への訪問や書類の取得をしなければならない場面があります。

仕事などの都合で時間がとれない場合には、専門家に調査を任せるのがおすすめです。

弁護士や司法書士などの専門家は、相続人の代わりに必要な手続きを行ってくれます。

これによって、相続人は時間の制約を感じることなく手続きを進められるようになるでしょう。

 

相続の財産調査に疑問や不安があれば専門家に相談しよう

相続の財産調査は、被相続人の財産全体を正確に把握し、適切な手続きを進めるために重要な手続きです。

しかし、財産調査では手間のかかる作業が多く、相続人だけで進めるのは困難なケースもあるでしょう。

とくに多岐にわたる財産がある場合や時間がない場合は、専門家のサポートを受けることでスムーズに調査を進められます。

弁護士などの専門家はプロの視点で課題を分析し、必要な手続きや判断を的確にサポートしてくれます。

安心して相続手続きを進めるためにも、疑問がある際は早めの相談を検討してみてください。

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