相続は税理士?弁護士?どの専門家に相談すべき?
〇この記事を読むのに必要な時間は約8分43秒です。
相続に関して専門家に相談する際、税理士と弁護士どちらを選ぶべきか悩む人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、相続における税理士と弁護士の業務範囲の違いについて詳しく解説していきます。
専門家を選ぶ際のポイントについても解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
税理士の主な業務内容
税理士は税務に関する専門家として、主に以下のような業務を行っています。
・税務代理
・税務書類の作成
・税務調査への対応
・税務相談
とくに税務代理と税務書類の作成、税務相談は税理士の独占業務となっており、税理士の資格をもっている人でなければ対応できません。
独占業務以外では、会計業務や企業に対するコンサルティング業務、起業支援などに携わっている税理士も多いです。
相続手続きで税理士が行える業務
相続手続きにおいて、税理士が行える主な業務は以下のとおりです。
・相続人調査・財産調査
・相続税申告
・準確定申告
・相続税対策
・相続税の還付請求
税理士は、上記の業務を通じて相続税の正確な申告をサポートしてくれます。
また、節税対策のアドバイスによって、相続人の税負担を軽減できる可能性もあるでしょう。
弁護士の主な業務内容
弁護士は法律や裁判に関する専門家で、主な業務内容は以下のとおりです。
・民事事件に関する業務
・刑事事件に関する業務
・企業法務
・公益活動など
弁護士は幅広い専門知識を活かして、個人や企業に対して法的な問題のアドバイスを行えます。
また法律全般に関する書類作成や、依頼人の代理として調停や裁判などの手続きを行うのも弁護士の業務内容の一つです。
相続手続で弁護士が行える業務
相続手続において弁護士が行えるのは、以下のような業務です。
・遺言書の作成
・相続人調査・財産調査
・遺産分割協議の代理
・遺産分割協議書の作成
・相続放棄や限定承認
・遺留分侵害額請求
・相続人間の紛争解決
弁護士は上記の業務を通じて、相続に関する法的な問題を解決し、適切な遺産分割をサポートしてくれます。
とくに紛争解決は弁護士にのみ対応できる業務であるため、相続人間でトラブルが発生している場合には弁護士へ相談するべきです。
相続における税理士と弁護士の違い
相続における税理士と弁護士には、対応できる業務内容の範囲に違いがあります。
相続に関する業務 | 税理士 | 弁護士 |
相続人の調査 | 〇 | 〇 |
相続財産の調査 | 〇 | 〇 |
遺言書検認の申し立て | × | 〇 |
相続放棄の申し立て | × | 〇 |
遺産分割協議書の作成 | △ | 〇 |
遺産分割協議の代理 | × | 〇 |
相続税の申告 | 〇 | △ |
相続人間の紛争解決 | × | 〇 |
税理士は税務関連の業務に特化しており、相続税の計算や申告書の作成、節税対策など相続税に関する業務を依頼できます。
一方、弁護士は基本的に相続手続き全般に対応できますが、相続税申告に関しては依頼できる弁護士が限られています。
依頼したい相続手続きの内容に応じて、適した専門家を選びましょう。
税理士ではなく弁護士に依頼すべき相続のケース
税理士ではなく弁護士に依頼すべき相続のケースとして、主に次の2つが挙げられます。
・遺言書の内容に納得できない
・相続人ともめて遺産分割協議が進められない
相続では弁護士にしか対応できない業務範囲があり、税理士に相談しても解決が見込めないケースもあります。
それぞれのケースについて、以下で具体的に見ていきましょう。
遺言書の内容に納得できない
遺言書の内容について不明瞭な点がある、または遺言書の内容に納得がいかない場合、弁護士へ相談するのがおすすめです。
遺言書の偽造など不正が疑われる場合には、その問題を明らかにし、必要に応じて法的手続きに進むサポートをしてくれます。
また、一部の相続人には遺留分と呼ばれる最低限の遺産の取り分が決められています。
遺留分の侵害があった場合も、遺留分相当の金銭を取り戻す手続きが可能であるため、早めに弁護士へ相談するのが望ましいです。
相続人ともめて遺産分割協議が進められない
相続人間で意見の対立があり、遺産分割協議が難航している場合には、弁護士へ相談しましょう。
弁護士は、依頼者の代理人として遺産分割協議に参加できます。
専門家の介入によって相続人同士で感情的になるのを抑制でき、話し合いがまとまりやすくなります。
また、遺産分割協議で合意に至らない場合も、弁護士であれば引き続き法的手続きの代行が可能です。
大きなトラブルに発展する前に、もめそうだと感じた時点で、弁護士へ相談するのが推奨されます。
相続について相談する専門家を選ぶ際のポイント
相続問題を相談する専門家を選ぶ際は、次のポイントを意識するのがおすすめです。
・相続問題に注力している
・実績や経験が豊富
・ほかの士業と連携している
・専門家との相性
・費用が明瞭
上記のポイントに沿って専門家を選ぶことで、自分の状況に適したアドバイスやサポートを得やすくなります。
各ポイントについて、以下で一つずつ確認していきましょう。
相続問題に注力している
専門家にはそれぞれ得意とする相談内容があるため、相続問題に注力している専門家を探すのがおすすめです。
相続問題を得意としている弁護士や税理士であれば、遺言書や遺産分割、相続税など特有の手続きに対する経験と深い理解をもっています。
複雑な問題を抱えている場合であっても、相続に特化した専門家の力を借りれば効率的に解決を目指せるでしょう。
実績や経験が豊富
相続手続きにおいては、実績や経験が豊富な専門家に相談するのが望ましいです。
豊富な実績をもつ弁護士や税理士は、過去のさまざまなケースに対応した経験から、状況に応じた適切なアドバイスを提供できます。
事務所のホームページにはこれまでの対応実績が掲載されているケースも多いので、相談する前に一度確認してみてください。
ほかの士業と連携している
相続問題を専門家に相談するなら、ほかの士業と連携している事務所を選ぶのもポイントです。
相続税の申告や不動産の相続登記をする場合、複数の専門家による支援が必要になる可能性があります。
税理士や弁護士・司法書士など異なる分野の専門家と連携している事務所であれば、相続問題を一括してサポートしてもらえるでしょう。
専門家との相性
相続手続きは個人の深い部分に関わるケースが多いため、専門家との相性も重要なポイントです。
依頼人と良好なコミュニケーションを取り、信頼関係を築ける専門家を選びましょう。
相性のいい専門家であれば、相続に関する個人的な問題や心配事を気兼ねなく話せるので、状況に応じた支援を受けやすくなります。
費用が明瞭
相続問題を相談する専門家を選ぶ際は、費用の明瞭さも重要です。
費用体系が不透明なまま契約に進んでしまうと、後々予期せぬ請求に直面するリスクがあります。
初回の相談費用や手続きにかかる実費・依頼費用など、明確に示してくれる専門家を選べば、安心して相続手続きを依頼できるでしょう。
相続で悩んだら税理士や弁護士などの専門家に相談しよう
税理士や弁護士などの専門家は、それぞれ異なる角度から相続問題に対応し、解決策を提供してくれます。
相続手続きで悩んだら、個別の状況や必要性に応じた専門家へ相談するのがおすすめです。
たとえば節税対策や相続税の申告に関する相談であれば税理士、相続人間のトラブルや遺産分割に関する相談であれば弁護士が適しています。
早い段階で専門家のサポートを得られれば、トラブルを未然に防ぎ、スムーズに相続手続きを進められるでしょう。
弁護士法人ふくい総合法律事務所
最新記事 by 弁護士法人ふくい総合法律事務所 (全て見る)
- 11月17日(日)の休日相続・遺言無料相談会の受付は終了しました。 - 11月 15, 2024
- 特別受益とは?計算方法や該当ケースを解説 - 11月 5, 2024
- 相続預金の引き出し方|必要な書類は? - 10月 25, 2024
弁護士コラムの最新記事
- 特別受益とは?計算方法や該当ケースを解説
- 相続預金の引き出し方|必要な書類は?
- 財産目録とは?記載内容と作成時のポイント
- 相続について無料で相談できる主な機関
- 相続の限定承認とは?内容や手続きを分かりやすく解説
- 相続放棄の基本的な流れとメリット・デメリット
- 相続税で気を付けておきたいペナルティ
- 遺産相続トラブル事例と防ぐポイント
- 相続の無料相談はどこにすべき?6つの相談先と特徴
- 相続欠格とは?相続権を失う5つの欠格事由
- 配偶者の法定相続分について|配偶者控除とは?
- 相続における遺言書の作成方法|どのような効果がある?
- 相続の遺産調停の基本的な流れポイント
- 相続の遺産分割協議書とは?作成手順は?
- 相続手続きはどこに依頼できる?選び方のポイントは?
- 相続は弁護士に相談すべき?依頼するメリット・デメリット
- 相続による土地の名義変更の流れ
- 相続財産に借金がある場合はどうする?借金の調査方法も解説
- 相続登記の登録免許税とは?計算方法や納付方法について解説
- 相続税における土地評価方法を解説|基本の流れや算定方式
- 相続税の配偶者控除とは?計算方法や手続きについて
- 相続手続きに必要な戸籍謄本の手続き・種類・取り方
- 相続の順位と遺産分割の割合
- 同居は相続に有利になる?寄与分の主張と認められるための要件
- 相続財産が少ない場合のポイント
- 相続の財産調査の対象は?自分で行える?
- 相続開始前3年以内の贈与は相続税の対象?対象外?2024年からの変更点は?
- 相続が少ない場合は手続きが必要?
- 相続手続きは自分でできる?自分で進める流れとデメリット
- 相続手続にかかる弁護士費用はいくら?
- 相続額が少ない場合の申告は?気を付けるべき注意点
- 相続の遺産分割協議書とは?作成の流れや書き方
- 相続手続きの期限一覧|手続きごとの期限
- 相続人が認知症の場合の対応|成年後見制度のポイント
- 遺産相続手続の時効は?手続き別の時効
- 相続発生時に確定申告は必要?行わなければいけないケースは?
- 不動産相続の流れと種類
- 相続と贈与の違い
- 相続の基礎控除とは?計算方法や特例についても解説
- 遺産相続の遺留分とは?遺留分の適用範囲
- 相続で揉めるケースと原因、トラブルを回避するためのポイント
- 相続発生時のやることリスト
- 相続の相談先一覧と選び方
- 相続の暦年課税とは?メリットや相続時精算課税との違い
- へそくりに相続税はかかる?相続税申告の注意点
- 遺産分割調停の流れ