相続の順位と遺産分割の割合

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分17秒です。

相続が発生した際、だれが相続人になるのか、どのように決めればいいのか悩む人は多いのではないでしょうか。

遺言書が残されていない場合は、民法で定められた法定相続人で遺産をわけるのが一般的です。

今回の記事では、法定相続人の基本的な順位や、特殊なケースにおける相続人の決まり方について解説します。

相続人を判断する際の注意点についても解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

 

相続の順位とは?基本的なルールを解説

被相続人の財産を相続する権利のある相続人には、法律によって順位が決められています。
・配偶者は常に法定相続人になる
・配偶者以外の法定相続人の順位
・法律で決められた相続割合(法定相続分)

相続手続きを進める際は、上記のような基本的なルールを理解しておく必要があります。

それぞれの項目について、以下で詳しく見ていきましょう。

配偶者は常に法定相続人になる

配偶者は、どのような親族構成であっても常に法定相続人になります。

そのため、被相続人に配偶者がいる場合は、配偶者と配偶者以外の順位の高い相続人で遺産をわけるのが一般的です。

なお、最優先で法定相続人になるのは法律上の婚姻関係にある配偶者に限られるため、事実婚の場合は基本的に相続権が認められません。

配偶者以外の法定相続人の順位

配偶者以外の法定相続人は、以下の3つの順位で決められています。

1順位 子ども(死亡している場合は孫)
2順位 親または祖父母
3順位 兄弟姉妹(死亡している場合は甥・姪)

もっとも順位が高いのは、被相続人の子どもです。

順位の高い人がいる場合、順位の低い人は法定相続人にはなりません。

たとえば、被相続人に配偶者と子どもがいる場合は、親や兄弟姉妹が健在だとしても、配偶者と子どもが優先されて法定相続人になります。

法律で決められた相続割合(法定相続分)

法定相続人には、それぞれが相続できる財産の割合(法定相続分)が決められています。

法定相続人 相続割合
配偶者のみ すべてを相続
配偶者と第1順位(子どもまたは孫) 配偶者:1/2を相続
第1順位:1/2を相続
配偶者と第2順位(父母または祖父母) 配偶者:2/3を相続
第2順位:1/3を相続
配偶者と第3順位(兄弟姉妹または甥姪) 配偶者:3/4を相続
第3順位:1/4を相続

同じ順位の相続人が複数いる場合には、決められた相続割合を同順位の相続人同士でわけます。

たとえば、配偶者と子ども3人が法定相続人の場合、配偶者は1/2、子どもは1/2を三等分して一人あたり1/6となります。

 

相続人となるのかわかりにくい事例

法定相続人は民法で決められていますが、特定の関係性においては相続人となるかどうかがわかりにくいケースもあります。
・養子縁組
・元妻や元夫
・元妻や元夫の子ども
・相続人が死亡している場合

被相続人にこれらの関係性の人がいる場合、相続権はどのように決まるのか、以下で具体的に確認していきましょう。

養子縁組

養子縁組をしている養子は法律上、実子と同等の扱いを受けるため、第1順位の法定相続人になります。

相続できる割合についても、実子と同様です。

なお、配偶者の連れ子などを家族として迎え入れているケースでは、被相続人との法律上の親子関係がないため、養子縁組をしていなければ相続権は認められません。

前妻や前夫

被相続人の前妻や前夫は、法定相続人にはなりません。

一度離婚が成立した場合は配偶者ではなくなり、相続権が失われるためです。

法定相続人になる配偶者は、被相続人が亡くなった時点で法律上の婚姻関係がある人のみです。

前妻や前夫の子ども

前妻や前夫との間に生まれた子どもは、後妻・後夫の子どもと同様に第1順位の法定相続人になります。

血縁関係のある子どもの相続権は、親の婚姻状態には影響を受けないためです。

たとえば、元配偶者との間に子どもが1人、後の配偶者との間に子どもが2人いた場合、いずれも第1順位の法定相続人となり、同じ割合の遺産を相続できます。

相続人が死亡している場合

相続人が被相続人の死亡時点ですでに亡くなっている場合、代襲相続と呼ばれる制度によって、その子どもに相続権が引き継がれる可能性があります。

たとえば、被相続人の子どもが亡くなっている場合、その子どもである孫が自動的に法定相続人となります。

代襲相続が適用されるかどうかわからないときは、被相続人の戸籍謄本を取り寄せて確認しましょう。

 

相続の順位や相続割合を考える上での注意点

相続の順位や相続割合を考える上での注意点は、主に次の4つです。
・法定相続人は戸籍謄本で確認する
・遺言書がある場合はその内容が優先される
・遺言書でも侵害できない遺留分
・相続放棄しても代襲相続は発生しない

とくに法定相続人の確認や遺言書の存在は、相続手続きの進行に大きな影響を与えるためしっかり押さえておきましょう。

それぞれの注意点について、以下で一つずつ解説していきます。

法定相続人は戸籍謄本で確認する

相続人を特定する際には、被相続人の戸籍謄本を入手し、法定相続人がだれであるかを確認する必要があります。

戸籍謄本には、家族関係や縁組情報が記録されているため、だれが法定相続人となる資格をもっているかが明らかにできます。

後から相続人の抜け漏れが発覚すると、相続手続きをやり直さなければならなくなるため、必ず戸籍謄本で確認するようにしましょう。

遺言書がある場合はその内容が優先される

有効な遺言書が存在する場合、民法で定められている相続順位や相続割合よりも、原則として遺言書の内容が優先されます。

遺言書には、被相続人が自身の財産をどのように分配したいかが記されており、法定相続分を超えた指示や特定の人に財産を譲るといった内容が含まれるケースがあります。

そのため、相続が発生した際は、まず遺言書があるかどうかを確認するようにしましょう。

遺言書でも侵害できない遺留分

相続では、遺言書でも侵害できない「遺留分」という一定の相続割合が存在します。

遺留分は兄弟姉妹以外の法定相続人に認められており、その割合は法定相続分の1/2もしくは1/3です。

もし遺言書の内容で遺留分が侵害されている場合、遺留分侵害額請求権を行使することで、遺留分に相当する財産の相続権を取り戻せます。

トラブルを避けるためにも、遺言書を作成する際は遺留分を侵害していないかをチェックしておくのがおすすめです。

相続放棄しても代襲相続は発生しない

相続人が相続放棄をしても、代襲相続は発生しません。

相続放棄とは、相続人が被相続人の財産を相続する権利を放棄する手続きです。

相続放棄を行うと、はじめから相続人ではなかったとしてみなされます。

単純に相続権を失うだけになってしまうため、子どもに代襲相続させる目的で相続放棄をするのは避けましょう。

 

相続の順位で悩んだら専門家に相談しよう

相続問題は複雑で、相続人の間で感情的なトラブルが発生するケースも多いです。

とくに家族構成が複雑だったり、多額の資産が絡んだりする状況では、適切に手続きを進めるのが困難になります。

相続人の順位や相続手続きで悩んだら、弁護士や司法書士のような専門家に相談するのがおすすめです。

相続問題を得意としている専門家のサポートを受けて、スムーズな問題解決を目指しましょう。

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