いとこの遺産相続はできるのか?例外的にできるケース
〇この記事を読むのに必要な時間は約7分53秒です。
親族が亡くなった際、その遺産は民法で定められた法定相続人が受け継ぐのが一般的です。
いとこが亡くなった場合に、自分が相続できるのか疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、いとこは法定相続人ではないため原則として遺産相続はできません。
ただし、例外的に遺産を相続できるケースも存在します。
今回の記事では、いとこの遺産を相続できるケースや手続きの流れ・注意点などについて詳しく解説します。
目次
いとこが亡くなった際は遺産を相続できる?
いとこが亡くなった場合、誰が遺産を相続できるのでしょうか。
民法では、相続する権利をもつ人の範囲や優先順位が定められています。
・法定相続人の範囲と相続順位
・いとこの遺産は原則として相続できない
・独身で身寄りのないいとこの財産はどうなる?
法定相続人の順位や、いとこの遺産がどのように処理されるのかについて、以下で具体的に確認ていきましょう。
法定相続人の範囲と相続順位
民法で定められた法定相続人の範囲と相続順位は、以下のとおりです。
第一順位 | 子ども(亡くなっている場合は孫) |
第二順位 | 直系尊属(父母または祖父母) |
第三順位 | 兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪) |
被相続人(亡くなった人)の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の相続人は上記の順位で相続人となります。
必ずこのとおりに相続しなければならないわけではありませんが、民法の相続順位をもとに手続きを進めていくのが一般的です。
いとこはいずれの相続順位にも該当しないため、法定相続人には含まれません。
いとこの遺産は原則として相続できない
いとこは法定相続人ではないため、原則として被相続人の遺産を相続できません。
たとえば、いとこが独身で子どもがいない場合でも、まずは両親や祖父母が相続人となります。
両親・祖父母がすでに亡くなっている場合は兄弟姉妹が相続人となり、兄弟姉妹が亡くなっている場合は甥姪が相続人となります。
法定相続人ではないいとこには相続権が回ってこないため、特別な理由がない限り遺産を受け取るのは難しいでしょう。
独身で身寄りのないいとこの財産はどうなる?
亡くなったいとこに直系尊属や兄弟姉妹、甥・姪もいない場合、相続財産は最終的に国庫に帰属します。
法定相続人が存在しない場合に行われる手続きの流れは、以下のとおりです。
①利害関係人または検察官の請求によって相続財産清算人が選任される
②相続財産の管理・清算のほか、相続人の捜索が行われる
③相続人がいないことが確定すると、特別縁故者に対する分与が行われる
④余った財産は国に納められる
故人と特別な関係があった人は「特別縁故者」として、財産の一部を受け取れる可能性があります。
例外的にいとこの遺産を相続できる2つのケース
いとこは原則として遺産を相続できませんが、次のようなケースでは相続できる可能性があります。
・遺言書による指定があった場合
・特別縁故者として認められた場合
それぞれどのようなケースなのか、以下で詳しく解説していきます。
遺言書による指定があった場合
亡くなったいとこが遺言書で財産の受取人として指名していた場合、その内容に従って遺産を相続できます。
遺言書は民法で定められた法定相続人よりも優先されるため、血縁関係がなくても特定の人物に財産を渡すことが可能です。
いとこに財産を渡す意思がある場合は、生前に遺言書を作成してもらうのがもっとも確実な方法でしょう。
ただし、遺言書には法的な要件があるため、無効とならないよう注意して作成する必要があります。
特別縁故者として認められた場合
遺言書が残されていない場合は、家庭裁判所に特別縁故者として認められればいとこの遺産を受け取れます。
特別縁故者とは、被相続人に法定相続人がいない場合に、条件を満たすことによって遺産を相続できる人です。
特別縁故者として遺産を受け取るためには、家庭裁判所に申し立てを行い、正式に認定される必要があります。
ただし、申し立てれば誰でも認められるわけではなく、故人との関係性や貢献度が重視されます。
いとこの遺産を相続できる特別縁故者とは?
特別縁故者とは、被相続人と特別な縁故があり、法定相続人がいない場合に遺産を受け取れる人です。
特別縁故者として認められるためには、一定の要件を満たし、家庭裁判所に申し立てを行う必要があります。
・特別縁故者と認められるための要件
・特別縁故者になれないケース
・特別縁故者として申し立てる手続き
以下では、特別縁故者の要件や申し立ての手続きについて解説していきます。
特別縁故者と認められるための要件
特別縁故者として認められるためには、以下のいずれかの要件を満たしていなければなりません。
・被相続人と生計を共にしていた人
・被相続人の療養看護に努めた人
・そのほか被相続人と特別の縁故があった人
たとえば、被相続人と家族のように共同生活をしていた人、長い期間介護や看護を行っていた人などが該当します。
また、共同生活や療養看護をしていなかったとしても、長年支えあっていた交際相手などは認められる可能性があります。
特別縁故者になれないケース
以下のようなケースでは、特別縁故者として認められない可能性が高いです。
・形式的な親族関係のみで、実際の関わりがなかった場合
・短期間の関係で、継続的な支援が認められない場合
いとことして血縁関係があったとしても、故人との交流が希薄だった場合は特別縁故者として認められるのは難しいでしょう。
また、故人の療養看護をしていたとしても、十分な報酬を受け取っていた場合は特別縁故者として認められない可能性があります。
特別縁故者として申し立てる手続き
特別縁故者の申し立てを行う先は、被相続人の最後の住所を管轄する家庭裁判所です。
法定相続人の不在が確定してから3ヶ月以内に、必要書類を揃えて手続きを行いましょう。
申し立てに必要な書類と費用は、以下のとおりです。
・申立書
・被相続人の戸籍謄本または除籍謄本
・申立人の住民票または戸籍附票
・800円分の収入印紙
・連絡用の切手代(裁判所によって異なる)
審理の結果特別縁故者と認定されれば、被相続人の遺産を受け取れるようになります。
特別縁故者が受け取れる遺産の金額に関しては、被相続人との関係の深さに応じた割合を裁判所が決定します。
いとこから遺産を相続する際は専門家に相談しよう
法定相続人ではないため、いとこは原則として遺産を相続できません。
しかし、遺言書による遺贈や特別縁故者の認定を受けられれば、遺産を相続できるようになります。
遺産を相続するためには遺言の有無や特別縁故者としての認定など考慮すべき点が多く、手続きも複雑です。
いとこの財産を取得できるのか、またどのように手続きを進めるべきか悩んだら、一度専門家に相談してみることをおすすめします。
弁護士などの専門家に相談し、状況に応じたアドバイスを受けられれば、スムーズに手続きを進められるでしょう。

弁護士法人ふくい総合法律事務所

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