相続について電話相談できる窓口と注意点
〇この記事を読むのに必要な時間は約8分51秒です。 
相続の手続きやトラブルに直面したとき、専門家に相談すべきかどうか迷う人は多いでしょう。
そのようなとき、電話相談は迅速にアドバイスを得られる手段のひとつとして有効です。
近年では無料で利用できる公的な電話窓口も多数整備されているため、難しい手続きをしなくても気軽に相談できます。
今回の記事では、相続について無料相談できる窓口や、相談前の準備・注意点までをわかりやすく解説します。
相続について不安や疑問を抱えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
相続について無料で電話相談できる4つの窓口

相続に関する悩みを抱えたとき、無料で相談できる電話窓口を活用すれば、費用面の不安なく相談をすることができます。
以下の4つの窓口では、相続問題に関する基本的な相談が可能です。
・法テラスのサポートダイヤル
・弁護士会の無料電話相談
・国税局・税務署の電話相談センター
・法務局の電話問い合わせ
窓口によって対応できる相談内容が異なるため、状況に応じてどの窓口が適しているかを見極めましょう。
以下では、それぞれの電話相談窓口について詳しく紹介します。
法テラスのサポートダイヤル
法テラス(日本司法支援センター)は、法律問題に対して誰もが公平に法的支援を受けられるようサポートする公的機関です。
「法テラス・サポートダイヤル」(0570-078374)では、問い合わせ内容に応じた相談窓口や法制度を案内してくれます。
サポートダイヤルは誰でも利用できるため、相続問題をどこに相談すべきかわからないときの最初の窓口として便利です。
なお、一定の収入条件を満たす人には、弁護士への無料法律相談や弁護士費用の立て替え制度も提供されています。
弁護士会の無料電話相談
全国の都道府県にある弁護士会では、相続問題を含む法律相談に対応しています。
各弁護士会によって相談方式や条件が異なるため、詳細は近隣の弁護士会のホームページなどで確認しましょう。
たとえば東京弁護士会では、都内からの電話相談に対して弁護士が15分間無料で対応してくれます。
直接弁護士に相談できる点がメリットですが、地域によっては電話相談に対応していない可能性もあるため注意が必要です。
国税局・税務署の電話相談センター
国税庁や税務署では、国税に関する相談を受け付ける「電話相談センター」を設置しています。
国税庁の相談窓口は、「国税相談専用ダイヤル」(0570-00-5901)です。
また、所轄の税務署に電話をかけることでも無料相談が可能です。
相続税の申告や手続き方法、必要書類などで悩んだときにおすすめの窓口となります。
ただし、対応するのは弁護士や税理士ではなく職員となるため、個別の税額計算や節税対策の相談はできない点に注意が必要です。
法務局の電話問い合わせ
法務局でも、無料の電話問い合わせに対応しています。
主に不動産の相続が発生した際に必要となる「相続登記」で悩んだときにおすすめの窓口です。
居住地域を管轄する法務局の連絡先は、各法務局のホームページなどで確認しましょう。
なお、対応者は職員となるため、相談できるのは手続きの流れや必要書類といった内容に限られます。
相続で電話相談をする前に準備しておくべきこと

相続について電話相談する際は、以下の2点を準備しておきましょう。
・相談の目的や知りたいことを明確にしておく
・関連する書類や情報を手元に用意する
事前に必要な情報や書類をそろえておけば、限られた時間でもより的確で有意義なアドバイスを受けられます。
具体的な準備方法について、以下で具体的に解説していきます。
相談したい内容や目的を決める
相談する前には、以下のように「何について相談したいのか」「何を知りたいのか」を具体的に整理しておきましょう。
・遺産分割協議がまとまらない場合の対応
・相続放棄の手続きと期限
・遺言書の有効性や内容に関する疑問
・ほかの相続人とのトラブルの対処法
「トラブル解決」「円滑な手続きの実行」など希望する結果とあわせて伝えることで、弁護士も状況を把握しやすくなります。
あらかじめメモしておけば、限られた時間内で効率的に会話ができ、聞き忘れも防げるでしょう。
相続に関連する書類を準備する
相続の電話相談では、事実関係を正確に伝える必要があります。
そのためには、手元に関係書類をそろえておくことが重要です。
具体的には、以下のような書類や情報を可能な範囲で準備しておくとよいでしょう。
・被相続人(亡くなった方)の戸籍謄本や住民票の除票
・相続人全員の関係がわかる戸籍資料
・遺言書
・遺産分割協議書
・預貯金・不動産・株式などの財産目録や名義情報
・借金や未払い金の明細
・すでに行った手続きの記録や相談履歴
書類がまだそろっていない場合でも、「どのような情報があるか」「どこまで調べたか」を伝えるだけでも構いません。
状況を把握できれば「次に何を準備すべきか」の具体的なアドバイスを受けられるため、今後の対応もスムーズになります。
相続の電話相談をする際の注意点
相続問題について電話相談するのは有効な手段ですが、注意すべき点もいくつかあります。
電話相談時に気をつけたい3つのポイントは、以下のとおりです。
・ナビダイヤルを利用する際の通話料に注意する
・感情的にならず、冷静かつ正確に事実を伝える
・電話相談だけですべてが解決するわけではないことを理解しておく
各注意点について、以下で詳しく確認していきましょう。
ナビダイヤルの場合は電話代に注意が必要
無料の電話相談であっても、通話料金は基本的に発信者である相談者の負担になります。
とくに0570で始まる「ナビダイヤル」に発信する場合には、注意が必要です。
ナビダイヤルの通話料金は、一般的な電話の料金体系とは異なります。
全国一律料金であったり通話先との距離によって金額が決まったりするため、通話料金が高額になる可能性があります。
各通信事業者が提供している「通話かけ放題」プランの対象外にもなるため、発信する際は気をつけましょう。
相談時は冷静に事実を伝える
相続トラブルは感情的な対立が生じやすく、相談者自身も混乱している場合も多いでしょう。
しかし、弁護士との電話相談では「冷静に、事実を正確に伝えること」が非常に重要です。
「ほかの相続人の主張」や「財産や相続人の状況」など、情報を整理して話すことで、適切なアドバイスを得られやすくなります。
感情的になってしまうと必要な情報が伝わらず、相談時間が無駄になる可能性もあるため注意が必要です。
要点をまとめたメモを用意しておいて見ながら話すようにすると、冷静さを保ちやすくなります。
電話相談だけではすべて解決できない可能性もある
電話相談はあくまで「初期的なアドバイスを得る手段」であり、すべての相続問題がその場で解決するとは限りません。
とくに複雑な財産状況であったりトラブルが生じていたりするケースでは、電話だけでは不十分な場合があります。
このような場合は、弁護士との対面相談や正式な依頼への切り替えをおすすめします。
弁護士への依頼が必要かどうかは電話相談の中で判断できる可能性もあるため、まずは早めに相談することからはじめてみてください。
相続問題を電話相談したいときは目的に合った窓口を選ぼう

相続に関する悩みや不安は、突然やってくるものです。
スムーズに対応するためには、自分の状況に合った支援先を見つけ、必要な情報を整理したうえで相談する必要があります。
公的機関や弁護士会などが提供する電話相談窓口には、それぞれ得意とする分野や対応範囲があります。
たとえば相続登記の手続きは法務局、税金に関する疑問は国税局のように、相談内容にあわせて最適な窓口を選びましょう。
また、電話相談はあくまで第一歩目の行動です。
状況が複雑な場合や、電話だけでは解決できない場合には、弁護士との対面相談や正式依頼への切り替えも検討してみてください。
弁護士法人ふくい総合法律事務所
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