遺言無効確認調停を進めるために知っておきたいこと

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分23秒です。

相続において、「この遺言書は本当に有効なのだろうか」といった疑問を抱えている人もいるのではないでしょうか。

遺言の方式に不備があったり、作成時の遺言能力に問題があったりする場合には、無効を主張できる可能性があります。

遺言の無効を主張する場合に検討される手続きの一つが、「遺言無効確認調停」です。

今回の記事では、遺言無効確認調停の概要や手続きの流れ、注意点などについてわかりやすく解説します。

被相続人が作成した遺言をめぐったトラブルで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

 

遺言無効確認調停とは?概要と訴訟との違い

まずは遺言無効確認調停の基本的な仕組みと、訴訟との違いについて整理します。
・遺言無効確認調停とは
・調停と訴訟の違い

どの手続きを選ぶべきか判断するためには、それぞれの特徴を理解しておくことが重要です。

以下で順に確認していきましょう。

遺言無効確認調停とは

遺言無効確認調停とは、遺言書が法律上無効であることを確認するために、家庭裁判所に申し立てる手続きです。

たとえば、遺言の方式に不備がある場合や、遺言者に判断能力がなかった疑いがある場合などに無効を主張します。

しかし、当事者間の話し合いだけでは感情的な対立が深まり、解決に至らないケースも少なくありません。

そのようなときに、第三者が間に入って調整を図るのが遺言無効確認調停です。

調停が成立すれば、合意内容を記載した調停調書が作成されます。

調停調書には、確定判決と同様の効力が認められます。

調停と訴訟の違い

遺言の無効を主張する法的手続きには、遺言無効確認調停と遺言無効確認訴訟があります。

調停と訴訟の最大の違いは、「話し合いによる解決を目指すか」「裁判所が判断を下すか」という点です。

調停は当事者の合意が前提ですが、訴訟では最終的に裁判官が証拠や主張を踏まえて判決を言い渡します。

訴訟は調停よりも長期化しやすく、精神的・経済的負担が大きくなりがちです。

そのため、まずは調停で解決を目指し、合意が難しい場合に訴訟へ移行するという流れが一般的です。

 

遺言無効確認調停を申し立てるべきケース

遺言無効確認調停を申し立てるべき代表的なケースは、次の3つです。
・遺言書の方式に不備がある場合
・偽造・変造の疑いがある場合
・遺言者に遺言能力がなかった場合

遺言の無効を主張する際は、法律上の無効事由が疑われるかどうかが重要な判断ポイントとなります。

以下では、それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

遺言書の方式に不備がある場合

遺言書は、法律で定められた要件を満たしていなければ無効となる可能性があります。

たとえば、自筆証書遺言の場合は、日付や氏名も含めて全文を自書し、押印しなければなりません。

日付や氏名の自書を忘れたり、本文がパソコンで作成されていたりした場合、形式的な不備として無効が問題となります。

しかし、方式不備が明らかであっても、相続人の一部が遺言の有効性を主張して対立するケースがあります。

このような場合には、家庭裁判所での調停を通じて整理することが現実的な対応となるでしょう。

偽造・変造の疑いがある場合

遺言書が被相続人の意思に反して作成された疑いがある場合も、無効が問題となります。

具体的には、ほかの相続人が勝手に作成した、内容を書き換えたといった偽造・変造のケースです。

このような場合には、筆跡や作成経緯などが争点になります。

偽造や変造を主張するためには、客観的な資料や事情の積み重ねが重要です。

筆跡鑑定が必要になる場合もあり、当事者間の感情的対立が激しくなる傾向があります。

直接の話し合いでは解決が難しいケースも多いため、遺言無効確認調停の申し立てが有効となります。

遺言者に遺言能力がなかった場合

遺言は、遺言者に判断能力があることを前提に有効とされます。

そのため、認知症などにより、遺言内容を理解し判断する能力がなかった場合には、遺言は無効となる可能性があります。

判断能力の有無は「遺言能力」と呼ばれ、無効を主張するうえで重要な争点の一つです。

単に診断名があるかどうかだけでなく、遺言作成当時の具体的な言動や医療記録・介護記録などを総合的に検討して判断します。

遺言能力が問題となった場合には、まず調停で争点を整理し、それでも合意に至らなければ訴訟へ移行するという流れが一般的です。

 

遺言無効確認調停の申し立て方法と流れ

遺言無効確認調停の申し立ては、家庭裁判所に対して行います。

申し立てを検討する場合は、手続きをスムーズに進めるために、事前に手続きの流れや必要な準備を理解しておくことが重要です。
・必要書類と申し立て費用
・調停手続きの一般的な流れ

以下では、申し立てにあたって必要となる書類や費用の目安、そして実際の調停がどのように進行するのかについて解説します。

必要書類と申し立て費用

遺言無効確認調停を申し立てる際は、以下のような書類が必要です。

・遺言無効確認調停申立書
・遺言書
・相続人の範囲を明らかにする戸籍謄本
・相続関係図
・財産内容を示す資料
・遺言無効の主張を裏付ける証拠

費用については、収入印紙1,200円分(申し立て手数料)と数千円の郵便切手代が必要となります。

必要書類は主張内容によっても異なるため、申し立てを行う家庭裁判所に確認しながら準備を進めましょう。

調停手続きの一般的な流れ

遺言無効確認調停の一般的な手続きの流れは、以下のとおりです。

・家庭裁判所に調停を申し立てる
・調停委員が間に入って話し合いを行う
・合意に至れば調停成立
・調停不成立の場合は訴訟を提起する

申し立てが受理されると、家庭裁判所から調停期日が指定されます。

当事者は指定された調停期日に出頭し、別々の部屋で交互に意見を述べる形で話し合いを進めるのが一般的です。

複数回の調停期日を経て話し合いがまとまれば、合意内容を記載した調停調書が作成されます。

意見の対立が大きく合意に至らない場合には、不成立となり、訴訟を提起するかどうかを検討します。

 

遺言無効確認調停を有利に進めるための注意点

遺言無効確認調停を有利に進めるためには、感情だけで主張するのではなく、客観的な証拠と整理された主張の準備が必要です。

調停は話し合いの場ですが、法的な根拠を踏まえた説明がなければ、相手方の理解や譲歩を得るのは難しくなります。

まず意識すべきなのは、無効原因を具体的に特定し、対応する資料を整理することです。

医療記録や介護記録・当時のやり取りのメモなど、客観性のある資料を積み重ねれば、主張の信頼性が高まります。

自分の主張がどの程度認められる可能性があるのかを分析し、戦略的に進めましょう。

 

遺言無効確認調停を検討しているなら弁護士に相談しよう

遺言の有効性をめぐる争いは、法律の問題であると同時に、家族関係や感情が深くかかわる繊細な問題です。

手続きを理解しているつもりでも、実際に進める段階になると、証拠の整理や主張の組み立てに悩む人は少なくありません。

調停段階での対応が、その後の訴訟の結果に影響を及ぼす可能性もあるでしょう。

遺言の無効を主張すべきか、それとも別の方法を選ぶべきかは、個別事情によって異なります。

弁護士から状況に応じたアドバイスを受けられれば、納得のいく結果につながりやすくなるでしょう。

遺言無効確認調停について疑問や不安があるときは、まず相続問題に詳しい弁護士に相談してみることをおすすめします。

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