成年後見についてくわしく解説。メリット・デメリットも知っておきましょう

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分20秒です。

「親の認知症が進んできた」「不動産の処分や遺産分割協議を行う必要がある」などの場面で候補に挙がるのが、成年後見制度です。

成年後見には財産管理や契約トラブルの防止といったメリットがある一方で、見落としやすいデメリットも存在します。

制度を十分に理解しないまま進めると、想定外の負担や制約が生じる可能性があるため、事前の確認が重要です。

今回の記事では、成年後見制度の概要やメリット・デメリットをわかりやすく解説します。

成年後見制度を利用すべきか悩んだ際は、ぜひ参考にしてみてください。

 

成年後見制度とは?メリット・デメリットの前に押さえるべき特徴

成年後見制度は、認知症や知的障害・精神障害などで判断能力が十分でない人の権利や財産を守るための制度です。

成年後見には、大きく分けて次の2つの仕組みがあります。
・家庭裁判所が選任する「法定後見」
・事前に契約する「任意後見」

どちらが適しているかは、本人の判断能力の状態や家族の支援状況・財産の内容などで異なります。

まずは、2つの特徴をそれぞれ確認していきましょう。

家庭裁判所が選任する「法定後見」

法定後見は、本人の判断能力が低下した後に、本人や親族が家庭裁判所に申し立てて成年後見人などを選任してもらう制度です。

大きな特徴は、支援の範囲が一律ではなく、判断能力の程度に応じて「後見人・保佐人・補助人」にわかれる点にあります。

これにより、必要な範囲で代理権や同意権・取消権などが付与され、本人にとって不利益になる契約を防ぐ仕組みです。

どの範囲の支援が必要かについては、本人との面談や医師の診断書などを通じて家庭裁判所が判断します。

事前に契約する「任意後見」

任意後見は、本人に判断能力があるうちに、将来判断能力が落ちたときに備えて後見契約を結ぶ制度です。

本人の判断能力が低下した際、家庭裁判所で「任意後見監督人」が選任されることによって効力が生じます。

誰を後見人にするのか、またどのような契約内容にするのかを、本人が自由に決められる点がメリットです。

ただし、任意後見人には「取消権」が付与されません。

したがって、不利益を伴う契約の取り消しを任せたい場合には、法定後見人を選定する必要があります。

 

成年後見制度のメリット|できること・守れること

成年後見制度の主なメリットは、次の3つです。
・負担の大きい財産管理を任せられる
・詐欺や不利益な契約を防止できる
・第三者による不正な出金や不適切な管理を防げる

なお、実際に「どこまでできるか」は、選択した制度の種類や付与される権限によって異なります。

以下では、代表的な場面を中心に見ていきましょう。

負担の大きい財産管理を任せられる

成年後見制度の大きなメリットは、責任の重いお金の管理を後見人に任せられる点です。

たとえば、預金口座の管理・介護費の支払いといった日常的な手続きを、本人の状況に応じて進めてもらえます。

また、遺産分割協議など相続にかかわる手続きにも対応が可能です。

後見人は裁判所への報告義務があるため、不正が行われていないかどうかも定期的にチェックされます。

これによって、親族が一人で抱え込むより役割が明確になり、家庭内の負担が軽減されるでしょう。

詐欺や不利益な契約を防止できる

成年後見を利用すると、本人にとって不利益な契約の防止につながる点もメリットです。

判断能力が低下している状況では、詐欺や契約トラブルに巻き込まれてしまうおそれがあります。

成年後見制度では、後見人が本人に代わって法律行為を行う場合もあるため、不利な条件での契約や不要な契約を防止できます。

また、類型や付与された権限によっては、すでに結んでしまった契約の取り消しも可能です。

第三者による不正な出金や不適切な管理を防げる

成年後見制度には、預貯金の使い込みや金銭トラブルを防げるメリットもあります。

本人のお金や口座は後見人が管理・記録し、必要に応じて説明できる体制を作れるためです。

成年後見制度を利用すれば、身近な人物であっても、後見人以外が勝手に預貯金を引き出すといった行為はできなくなります。

結果として、本人の財産が不当に扱われたり使い込まれたりするリスクを軽減できるでしょう。

 

成年後見制度のデメリット|費用・手続き・制約の注意点

成年後見制度はメリットもある反面、お金や手間・自由度などの負担が生じる可能性もあります。

主なデメリットは、次のとおりです。
・報酬を支払う必要がある
・後見人申し立ての手続きに手間がかかる
・希望した候補者が必ず選任されるとは限らない
・財産の自由な運用や処分ができなくなる

各デメリットについて、以下で詳しく解説していきます。

報酬を支払う必要がある

成年後見制度では、選任する後見人によっては報酬が継続的に発生します。

親族が後見人になる場合は、無報酬で運用されるケースもあるでしょう。

しかし、司法書士や弁護士などの専門家が選任された場合は、月額2万円~6万円程度の報酬が発生するのが一般的です。

また、不動産の売却など特別な行為をした場合、付加報酬として追加で請求される可能性もあります。

後見は原則として本人が亡くなるまで継続するため、事前に負担金額の見通しを立てておくようにしましょう。

後見人申し立ての手続きに手間がかかる

成年後見制度を利用する際には、家庭裁判所に申し立てが必要です。

申し立てにあたっては、医師の診断書や財産目録・戸籍謄本など、多くの書類を集めなければなりません。

また、法定後見では、申し立てをすればすぐに後見人が選任できるわけではなく、審査や面接を経て審判が行われます。

申し立てから審判まで数ヶ月かかる可能性もあるため、急ぎで後見人を立てたい場合には注意が必要です。

希望した候補者が必ず選任されるとは限らない

成年後見の申し立ての際は候補者を立てられますが、候補者が必ず選任されるとは限りません。

とくに財産が多い場合や、親族間に対立がある・財産管理に不安があるなどの事情があると、専門家が選ばれる可能性が高まります。

信頼できる家族に任せたいと考えていたとしても、希望通りの結果にはならないケースも多いため注意しましょう。

財産の自由な運用や処分ができなくなる

成年後見がはじまると、財産の自由な運用や処分は難しくなります。

成年後見の目的は運用ではなく、判断能力が不十分な人の権利と財産を守り、生活を安定させることにあるためです。

場合によっては、財産行為に家庭裁判所の関与が必要となり、手続きをスムーズに進められなくなる可能性もあるでしょう。

資産の管理や運用方法に強い希望がある場合は、制度を利用する前に方針を整理しておく必要があります。

 

成年後見制度はメリットとデメリットを理解したうえで利用しよう

成年後見制度は被後見人の権利や財産を守る方法として有効ですが、継続的な負担を伴う可能性があります。

勢いで申し立てるのではなく、メリットとデメリットを理解したうえで、より目的に合った形を選ぶことが重要です。

「自由度を残したい」「費用を抑えたい」という希望がある場合は、成年後見制度の利用がベストではない可能性もあるでしょう。

成年後見制度を利用すべきか悩んだときには、まず弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。

弁護士であれば、成年後見を使うべきかの判断や、状況に応じた手続き・書類の準備などをサポートできます。

不安や疑問は一人で抱え込まず、早い段階での相談を検討してみてください。

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