遺留分侵害額請求調停とは?基本的な流れとポイント

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分33秒です。

一部の相続人に最低限保障された遺産の取り分を「遺留分」といいます。

贈与や遺贈によって遺留分を侵害された場合は、遺留分侵害額請求によって遺留分に相当する金額の請求が可能です。

しかし、相続人同士では話し合いがうまく進まず、どのように請求すべきか悩む人も多いのではないでしょうか。

このようなケースで検討すべきなのが、遺留分侵害額請求の調停の申し立てです。

今回の記事では、遺留分侵害額請求の調停の基礎知識や手続きの流れ、注意点などについてわかりやすく解説します。

 

遺留分侵害額請求の調停とは?

遺留分侵害額請求の調停とは、家庭裁判所の調停手続きにより、遺留分侵害額請求に関する問題の解決を目指す手続きです。

調停では、裁判のように判決が下されるわけではなく、双方が納得できる解決案を探る話し合いの場が設けられます。

当事者だけで交渉するよりも、冷静かつ公平に話し合いが進みやすい点が特徴です。

相続人同士での話し合いで遺留分の問題が解決できそうにない場合は、まず調停の申し立てを検討しましょう。

必要書類と申し立て費用

遺留分侵害額請求の調停を申し立てる際には、以下のような書類の提出が必要です。
・申立書
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本
・遺言書もしくは遺言書の検認調書謄本の写し
・遺産に関する資料(預貯金通帳の写しや固定資産評価証明書など)

状況によっては追加書類の提出を求められるケースもあるため、申し立て先の家庭裁判所に確認しながら準備を進めましょう。

申し立て費用については、1,200円分の収入印紙と郵便切手代が必要となります。

郵便切手代は家庭裁判所によって異なるため確認が必要ですが、数千円程度となるケースが一般的です。

 

遺留分侵害額請求調停の流れ

遺留分侵害額請求の調停は、申し立てから調停成立・不成立の判断まで、次のような手順に沿って進みます。

・家庭裁判所に調停を申し立てる
・調停期日の通知を受ける
・調停に出席する
・調停成立もしくは不成立となる

全体像を把握しておくと、不安が軽減されるだけでなく、必要書類の整理や主張内容の準備がしやすくなるでしょう。

以下では、各工程について詳しく解説していきます。

家庭裁判所に調停を申し立てる

まずは、家庭裁判所に遺留分侵害額請求の調停を申し立てます。

申し立てる先は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所です。

ただし、当事者間で話し合い合意を得られれば、ほかの家庭裁判所に申し立てることも可能です。

必要書類を揃えるまでに時間がかかる可能性もあるため、余裕をもって準備を進めましょう。

書類が不足していたり不備があったりすると、後の手続きに影響するおそれがあるため注意が必要です。

調停期日が通知される

家庭裁判所が調停の申し立てを受理すると、第1回の調停期日が決定されます。

調停期日とは、当事者が家庭裁判所に出向き、調停委員を介して話し合いを行う日程です。

郵送で「調停期日通知書」が届くため、調停が実施される日時や場所・当日の持ち物などを確認します。

第1回の調停期日は、申し立てた日から1ヶ月程度先の日付が指定されるのが一般的です。

調停当日を落ち着いて迎えるためにも、期日までに自身の主張を整理しておきましょう。

調停に出席する

調停当日は、調停委員が中立の立場から双方の主張を聞き取り、合意形成に向けた話し合いを行います。

調停では、当事者が同席するのではなく、別々の待合室で待機して個別に聞き取りが行われるケースが一般的です。

相手方と直接顔を合わせることに不安がある場合でも、個別面談形式であれば心理的負担が軽減されるでしょう。

調停は、成立もしくは成立の見込みがなくなるまで複数回実施されます。

調停成立もしくは不成立となる

遺留分侵害額請求について当事者間で合意が得られれば調停成立となり、合意内容を記載した「調停調書」が作成されます。

調停調書には、確定判決と同様に差し押さえなどの強制執行ができる効力があります。

調停が成立したにもかかわらず合意内容が履行されない場合には、強制執行手続きの利用が可能です。

一方で、話し合いがまとまらず調停成立の見込みがない場合には不成立となります。

引き続き遺留分侵害額を請求する場合には、裁判への移行を検討しましょう。

 

遺留分侵害額請求調停を有利に進めるためのポイント

遺留分侵害額請求の調停を有利に進めるためには、事前準備を徹底し、主張の根拠を明確に示すことが重要です。

また、調停はあくまでも話し合いを通じて解決を図る手続きであるため、ある程度の妥協点を決めておくことも必要です。

冷静さを保ち、妥協できる点と譲れない点を明確にしておけば、合理的な解決案を提示しやすくなるでしょう。

主張の方向性や証拠の示し方で悩んだときは、弁護士へ相談するのもおすすめです。

 

遺留分侵害額請求の調停を申し立てる際の注意点

遺留分侵害額請求の調停を申し立てる際の注意点は、次の3つです。
・相手方の住所を特定する必要がある
・相手方が出席しなければ調停は不成立となる
・遺留分侵害額請求権には時効がある

これらの点を理解しておけば、不要なトラブルを防ぎ、スムーズに手続きを進められます。

それぞれの注意点について、以下で詳しく見ていきましょう。

相手方の住所を特定する必要がある

調停を申し立てる際には、まず相手方の住所を特定する必要があります。

住所がわからなければ裁判所からの呼び出し通知を送れないため、調停そのものが実施できません。

相手方の住所が不明なケースでは、住民票の取得や戸籍の附票の取り寄せといった調査が必要です。

相続問題では、疎遠な親族が相手方になる場合も多いため、調停申し立て前に住所を把握しておくようにしましょう。

相手方が出席しなければ調停は不成立となる

調停はあくまで「話し合い」の場であるため、当事者双方が出席してからはじめて協議が進みます。

したがって、相手方が出席しない場合は調停不成立となり、手続きが終了してしまうため注意が必要です。

相手方が出席しない理由には、「話し合いに応じたくない」「調停制度を理解していない」などさまざまな背景が考えられます。

調停が不成立となった際は、裁判に移行すべきかどうかを検討し、必要に応じて弁護士に相談しましょう。

遺留分侵害額請求権には時効がある

遺留分侵害額請求ができる権利には時効があり、これを過ぎると請求できなくなる可能性がある点に注意が必要です。

具体的な時効期間は、「相続開始および遺留分侵害を知ったときから1年」または「相続開始から10年」となります。

相続手続きや調停の準備を進めている間に時効を迎えてしまう可能性もあるため、早めの行動が重要です。

時効期間が迫っている場合は、まず内容証明郵便を利用した請求で時効の完成を防ぐことをおすすめします。

 

遺留分侵害額請求の調停で迷ったときは弁護士に相談しよう

遺留分侵害額の請求は、相続人同士で意見の食い違いや感情の対立が生じやすい問題です。

とくに、遺留分の計算や証拠の整理・相手方との交渉など、自分で手続きを進めるのが難しいと感じる場面も多いでしょう。

そもそも遺留分を請求できるのか、また調停を申し立てるべきか悩んだときは、相続問題に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

弁護士に相談すれば、遺留分の計算や時効の判断のほか、調停に必要な資料の整理や主張の組み立てをサポートしてもらえます。

また、調停への同席や、代理人として代わりに出席してもらうことも可能です。

納得のいく解決方法を模索するためにも、早い段階で弁護士への相談を検討してみてください。

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