遺言の種類「自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言」

 

この記事を読むのに必要な時間は約9分30秒です。

遺言書を作成したいと考えたとき、遺言にはどのような種類があるのか、またどれを選ぶべきなのか迷う人は多いでしょう。

遺言は、亡くなったあとの財産の分け方や意思を明確に示す大切な手段です。

しかし、法律で定められた方式に従って作成しなければ、無効になってしまうおそれもあります。

そのため、まずは遺言の種類とそれぞれの特徴を正しく理解しておくことが重要です。

今回の記事では、遺言の種類の基本・代表的な遺言の特徴・迷ったときの選び方についてわかりやすく解説します。

これから遺言を作成しようと考えている人や、家族の将来に備えたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

 

遺言の種類とは?まず押さえたい基礎知識

遺言にはいくつかの種類があり、大きく次の2つに分けられます。
・普通方式遺言
・特別方式遺言

遺言は、自分の財産を誰にどのように引き継いでもらうかを意思表示するためのものであり、相続トラブルの予防にも役立ちます。

ただし、自由に書けばよいというわけではなく、作成する際は法律で定められた方式を満たさなければなりません。

以下では、普通方式遺言と特別方式遺言の特徴と違いについて見ていきましょう。

普通方式遺言

普通方式遺言とは、日常的な場面で利用される一般的な遺言の方式です。

自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類があり、遺言を検討する多くの人は、このいずれかを選択します。

普通方式遺言には期限がなく、平常時に落ち着いて準備を進められる点と、事情に応じて適した方法を選べる点が大きな特徴です。

もっとも、普通方式遺言はいずれも法律上の要件を守って作成する必要があります。

遺言を作成する際は、まず普通方式遺言の3種類の違いを理解するようにしましょう。

特別方式遺言

特別方式遺言とは、普通方式遺言による作成が難しい状況で認められる例外的な遺言の方式です。

特別方式遺言には危急時遺言や隔絶地遺言があり、生命の危機が迫っていたり交通手段を断たれていたりする場合に利用できます。

ただし、遺言者が普通方式遺言を作成できる状況になってから6ヶ月以上生存したときは、特別方式遺言は無効となります。

そのため、実務上は、まず普通方式遺言による作成が可能かどうかを考えるのが一般的です。

 

普通方式遺言の種類①自筆証書遺言

自筆証書遺言は、普通方式遺言の一つであり、遺言者が自分で作成するもっとも身近な種類の遺言です。

自筆証書遺言は利用しやすい一方で、方式不備によって無効になる可能性がある点に注意する必要があります。
・自筆証書遺言のメリット
・自筆証書遺言の注意点

以下では、自筆証書遺言の特徴を詳しく確認していきましょう。

自筆証書遺言のメリット

自筆証書遺言の大きなメリットは、特別な手続きをしなくても一人で作成しやすいことです。

遺言者本人が遺言書の全文・日付・氏名を自書し、押印できれば作成できます。

証人も不要のため、公正証書遺言や秘密証書遺言と比べると、準備の負担を抑えやすいでしょう。

また、自筆証書遺言は遺言書保管制度を利用すれば法務局に預けられるメリットもあります。

作成後に自宅で保管すると紛失や発見されないリスクが生じますが、法務局に預ければ遺言書の保管を任せられます。

法務局で保管された自筆証書遺言は、相続開始後の家庭裁判所での検認手続きは不要です。

自筆証書遺言の注意点

自筆証書遺言の注意点は、以下のとおりです。
・方式不備によって無効になる可能性がある
・遺言書の内容がトラブルにつながるおそれがある
・自分で保管する場合は紛失や発見されないリスクがある
・第三者による隠蔽・破棄・改ざんのリスクがある
・法務局に預けない場合は検認手続きが必要

自筆証書遺言でまず注意したいのは、方式不備によって無効になるおそれがある点です。

正しい方法で作成したとしても、遺言書の内容が相続人同士のトラブルにつながる可能性もあるため慎重な判断が必要です。

また、自宅保管の自筆証書遺言は、紛失・破棄・改ざんといった問題が起こり得ます。

形式や内容に不安がある場合は、作成前に弁護士などの専門家へ相談したほうが安心です。

 

普通方式遺言の種類②公正証書遺言

公正証書遺言は、遺言者が遺言の趣旨を公証人に伝え、その内容をもとに公証人が公正証書として遺言を作成する方式です。

自筆証書遺言と比べると手間と費用がかかりますが、遺言の確実性を重視したい場合に適しています。
・公正証書遺言のメリット
・公正証書遺言の注意点

以下では、公正証書遺言のメリットを整理したうえで、注意しておきたい点も解説していきます。

公正証書遺言のメリット

公正証書遺言の最大のメリットは、以下のとおりです。
・方式不備による無効リスクを軽減できる
・紛失や改ざんのリスクを抑えられる
・本文を自書する必要はない
・相続開始後の検認手続きが不要

公正証書遺言は公証人が作成し、原本は公証役場で保管されます。

そのため、方式不備による無効・紛失・改ざんなどのリスクを抑えられる点がメリットです。

本文は自書する必要がないため、手書きでの作成が難しい状態であっても利用できます。

また、相続開始後の検認手続きが不要なため、相続人の負担が軽減されるメリットもあります。

公正証書遺言の注意点

公正証書遺言の注意点は、以下のとおりです。
・一定の費用がかかる
・必要書類の準備や事前相談が必要
・証人が2人以上必要

公正証書遺言でまず押さえておきたいのは、一定の費用がかかる点です。

手数料は一律ではなく、遺産の額によって数万円〜十数万円ほどの費用がかかります。

また、自筆証書遺言と比べると手続きに手間がかかり、証人も2人以上用意する必要があります。

安全性は高いものの手軽さを重視したいケースでは向かない可能性もあるため、目的に応じて選択するようにしましょう。

 

普通方式遺言の種類③秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密にしたまま作成できる普通方式遺言です。

遺言者が作成した遺言に封をして公証役場に提出し、自分の遺言であると申述することによって作成します。

公証人や証人にも中身を秘密にできる点や、自筆証書遺言と違って本文を自書する必要がない点がメリットです。

しかし、内容に不備がないかやどのように保管するかは自身で確認・検討する必要があります。

以下では、どのようなケースに秘密証書遺言が向いているのかを確認していきましょう。

秘密証書遺言が向いているケース

秘密証書遺言が向いているのは、遺言の内容は知られたくないものの、遺言書の存在は公的な手続きで明らかにしたい場合です。

秘密証書遺言の作成には公証人や証人が関与しますが、封書の中身は開示しないまま手続きを進められます。

ただし、秘密証書遺言は公証人が内容を確認しないため、法律上の不備で無効となるおそれがあります。

また、遺言者自身で保管する必要があるため、紛失や改ざんのリスクがある点もデメリットです。

「秘密にしたい」という事情がとくに強い場合でなければ、ほかの遺言方式も含めて比較検討したほうがよいでしょう。

 

遺言の種類で迷ったときの選び方

遺言の種類で迷ったときは、「手軽さ」「確実性」「内容の秘匿性」という3つの視点で選ぶと整理しやすくなります。

自分で費用を抑えながら作成したい場合は、自筆証書遺言が選択肢になります。

一方で、方式不備のリスクを減らしたい場合は、公正証書遺言のほうがおすすめです。

遺言内容を秘密にしたい場合には秘密証書遺言も候補になりますが、実務上選ばれるケースは少ない傾向があります。

どの遺言方法にもメリットと注意点があるため、自分の状況に合った方式を選びましょう。

相続人の人数・財産の内容・将来の紛争リスクまで見据えて検討することで、遺言の目的をより確実に実現しやすくなります。

 

遺言の種類を理解して自分に合った方法を選ぼう

遺言は、法律で定められたルールに沿って作成してはじめて、亡くなった後に意思を実現しやすくなります。

普通方式遺言には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類がありますが、それぞれ向いている場面は異なります。

内容が複雑であったり、相続人間でもめる可能性が気になったりする場合には、公正証書遺言を優先して検討するほうが安心です。

遺言の作成方法や内容で悩んだときは、弁護士などの専門家への相談を検討しましょう。

専門家に相談することで、自分の状況に合った遺言方法や法的に有効な遺言内容についてアドバイスを受けられます。

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