成年後見の不服申し立ての基本とよくある問題

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分48秒です。

成年後見の申し立てをしたものの、審判に不満や疑問を抱くケースもあるでしょう。

このようなケースでは、成年後見の「不服申し立て」が検討されます。

しかし、成年後見に関する不服申し立てはどの場面でも自由にできるわけではありません。

そのため、まずはなにに対して不服があるのかを整理したうえで、適切な対応を選ぶ必要があります。

今回の記事では、成年後見の不服申し立ての基本を整理したうえで、不服申し立てが問題になりやすいケースを紹介します。

不服申し立て以外に検討すべき対応についても解説するため、ぜひ最後までご覧ください。

 

成年後見の不服申し立てでまず知っておきたい基本


成年後見の不服申し立てを考えたときに、まず知っておきたい基本のポイントは次の2点です。

・成年後見開始の審判には即時抗告がある
・成年後見人等の選任だけを争うことはできない

この違いを理解しておくと、「不服申し立てをすべき場面なのか」「別の対応を考えるべきなのか」を検討しやすくなります。

以下で詳しく確認していきましょう。

成年後見開始の審判には即時抗告がある

成年後見の申立人または利害関係人が後見開始の審判に納得できない場合は、「即時抗告」という不服申し立てができます。

即時抗告が行えるのは、審判書謄本の送達・受領から2週間以内です。

「本当に後見が必要なのか」「開始の判断は妥当なのか」といった点に異議があるときは、期間内に不服申し立てを検討しましょう。

2週間の期間内に不服申し立てがされなければ、後見開始の審判は確定します。

審判確定後に争うのは困難な場合があるため、疑問や不安があるときは早めに家庭裁判所や弁護士へ確認することをおすすめします。

成年後見人等の選任だけを争うことはできない

成年後見開始の審判に対する不服申し立ては、「成年後見人等の選任」だけを理由にはできません。

つまり、「候補者以外が選任された」などの不満があっても、その点だけを切り離して争うことは困難です。

そもそも成年後見では、申立人の希望どおりの人が選任されるとは限りません。

本人にとってもっとも適任と思われる人物を、家庭裁判所が選ぶ仕組みになっているためです。

「最終的にだれを選任するかは家庭裁判所が決定する」という点は、事前に理解しておくべきポイントとなります。

 

成年後見の不服申し立てが問題になるケース


成年後見の不服申し立てが問題になりやすいのは、次のようなケースです。

・親族を候補にしたのに弁護士や司法書士などが選ばれた
・成年後見の開始自体に納得できない
・申し立てを取り下げたいと考えている

感情的には同じ「納得できない」という思いであったとしても、法的に取れる対応は場面によって異なります。

各ケースについて、以下で詳しく見ていきましょう。

親族を候補にしたのに弁護士や司法書士などが選ばれた

成年後見の申し立てでよくあるのが、親族を候補者としたにもかかわらず弁護士や司法書士などの専門職が選ばれるケースです。

後見人等は申立人の希望だけで決まるのではなく、本人にとってもっとも適任と思われる人が選任される仕組みになっています。

とくに財産管理が複雑であったり、生活上の課題が大きかったりする場合には、専門職が選ばれる可能性は高くなります。

この場面で注意したいのは、だれを成年後見人等に選ぶかという判断そのものについては、不服申し立てができない点です。

まずは、なぜ専門職が選ばれたのかを冷静に確認し、そのうえで選任後の対応を考えることが重要になります。

成年後見の開始自体に納得できない

成年後見の開始自体に納得できないケースでは、後見開始の審判に対する不服申し立て(即時抗告)が問題となります。

たとえば、「本人にまだ判断力があるのではないか」や、「家族の支援だけで足りるのではないか」と感じる場合もあるでしょう。

このような不満を感じたときは、審判書が届いてから2週間以内に即時抗告するかどうかを検討する必要があります。

即時抗告では感情面だけでなく、どの点に法的な問題があるのかを具体的に整理しなければなりません。

期間も限られているため、「納得できない」と感じた時点で弁護士に相談したほうが対応しやすくなります。

申し立てを取り下げたいと考えている

成年後見の申し立てをしたあとに、やはり手続きをやめたい、取り下げたいと考えるケースもあるでしょう。

しかし、成年後見の申し立ては、一般的な手続きのように自由に取り下げできるわけではないため注意が必要です。

一度申し立てをしたあとは、審判前であっても、家庭裁判所の許可がなければ取り下げはできません。

その理由は、成年後見が本人保護や公益性にかかわる制度であり、申立人の都合による取り下げが適切ではない場合があるためです。

とくに、「候補者が選任されない」「監督人を付けてほしくない」といった理由では、取り下げが認められる可能性は低いでしょう。

 

成年後見で不服申し立て以外に対応できること


成年後見で不満や疑問が生じたとしても、そのすべてを不服申し立てで解決できるわけではありません。

不服申し立て以外で検討しやすい主な対応は、次の3つです。

・成年後見人等の解任を検討する
・家庭裁判所に監督処分を求める
・弁護士に相談する

それぞれの対応について、以下で順に解説していきます。

成年後見人等の解任を検討する

選任された成年後見人等に重大な問題がある場合は、解任を検討する必要があります。

基本的に、一度選任された成年後見人等を解任するのは簡単ではありません。

解任が認められるのは、不正な行為や著しい不行跡、その他後見の任務に適さない事由がある場合です。

具体的には、本人の財産を不適切に管理していたり、後見人の役割を果たしていなかったりする場合に解任となる可能性があります。

解任を希望する際は、解任事由に該当する証拠を集めたうえで家庭裁判所に申し立てましょう。

自身での立証が困難な場合は、弁護士などの専門家に相談しながら状況を整理することをおすすめします。

家庭裁判所に監督上の対応を求める

成年後見人等の対応に不安があるものの、解任の判断まではできない場合は、家庭裁判所に監督処分を求める選択肢があります。

監督処分を求めるべき状況は、財産管理の内容が不透明で後見人から十分な説明が受けられないケースなどです。

家庭裁判所に監督処分の申し立てを行えば、後見人の業務が適切に行われているかどうかを必要に応じて調査してもらえます。

調査を求める際は、いつ・どのような対応に問題があったのかを具体的に整理して伝えましょう。

弁護士に相談する

成年後見の不服申し立てで悩んだときは、早めに弁護士へ相談することが有効です。

とくに、「即時抗告の対象なのか」「解任を求められるのか」といった点は、個人での判断が難しいケースも多いでしょう。

成年後見の手続きに問題があると感じるときほど、感情だけで動かず、法的にどの対応が適切かを確認することが大切です。

また、すでに後見が開始され状況が複雑になっている場合でも、弁護士の助言によって問題が整理しやすくなる場合もあります。

どの手段を取るべきか迷っている段階こそ、専門家のサポートをうまく活用しましょう。

 

成年後見の不服申し立てで悩んだら家庭裁判所や弁護士に相談しよう


成年後見について不満や疑問が生じたときは、まず「なにが問題なのか」を落ち着いて整理する必要があります。

後見開始そのものに異議があるのか、選ばれた後見人の対応に不安があるのかによって、取るべき手続きは大きく変わります。

自分だけで結論を出そうとせず、家庭裁判所で確認できる事項は確認し、法的な見通しが必要な場合は弁護士に相談しましょう。

成年後見は、本人の生活や財産を守るための大切な制度です。

納得できない点があるときほど、早い段階で適切な相談先につながることで、状況を整理しやすくなります。

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