相続における兄弟姉妹の遺留分は認められない!その理由は?

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分28秒です。

相続では、亡くなった人(被相続人)の兄弟や姉妹が相続人となるケースがありますが、兄弟姉妹には遺留分は認められていません。

そもそも遺留分とはどのような制度なのか、なぜ兄弟姉妹に認められないのか気になっている人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、兄弟姉妹に遺留分がない理由や、兄弟姉妹が財産を取得する方法について詳しく解説します。

兄弟姉妹が相続人となる場合の注意点も解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

 

遺産相続において兄弟姉妹に遺留分は認められない

遺産相続において、兄弟姉妹には「遺留分」が認められていません。

そのため、遺言書や生前贈与で不公平な財産の分配がされたとしても、兄弟姉妹は遺産を取り戻す権利をもっていないのです。

これは民法で定められているルールであり、配偶者や子どもなどのほかの相続人との大きな違いといえるでしょう。

以下では、そもそも「遺留分」とはどのような制度なのかを解説していきます。

そもそも遺留分とは?

遺留分とは、法律で保障された最低限の相続財産の取り分です。

遺留分の制度は、遺言による不公平な財産分配を防ぎ、相続人の生活を守ることを目的としています。

たとえば、被相続人が遺言で「全財産を特定の人物に譲る」と記した場合、相続人は財産を受け取れません。

このようなケースでは「遺留分侵害額請求」を行うことで、遺留分にあたる一定割合の財産を取り戻せます。

ただし、遺留分が認められるのは配偶者・子ども・直系尊属(親や祖父母)に限られており、兄弟姉妹には認められていません。

 

相続で兄弟姉妹に遺留分が認められない理由

兄弟姉妹に遺留分が認められていない理由として挙げられるのは、以下の3つです。
・被相続人との血縁関係が遠いため
・生計が別であるケースが多いため
・兄弟姉妹には代襲相続があるため

これらの理由は、遺留分が「遺族の生活保障」という性質をもつ権利であることに関係しています。

それぞれの理由について、以下で具体的に見ていきましょう。

被相続人との血縁関係が遠いため

兄弟姉妹が遺留分の対象外とされる理由の一つは、被相続人との血縁関係が比較的遠いためです。

民法では被相続人の配偶者は常に相続人となり、配偶者以外の親族は関係性によって相続順位が定められています。

第一順位 子ども
第二順位 父母(祖父母)
第三順位 兄弟姉妹

第一順位の子どもが優先され、その次に父母・祖父母となるため、第三順位である兄弟姉妹が相続人となるケースは少ないです。

兄弟姉妹は相続の優先度が低く、遺留分の対象からも除外されていると考えられます。

生計が別であるケースが多いため

兄弟姉妹は、被相続人とは生計を別にしているケースが一般的です。

遺留分は、相続によって生活が著しく損なわれることのないよう、最低限の取り分を保障するための制度となります。

しかし、被相続人の兄弟姉妹は、相続できなかったからといって経済的に困窮するわけではない場合がほとんどです。

相続が生活基盤に直接影響する可能性が低い点も、兄弟姉妹が遺留分の対象外となる理由の一つといえます。

兄弟姉妹には代襲相続があるため

兄弟姉妹には遺留分はありませんが、代襲相続が認められています。

代襲相続とは、相続人となるはずの人が相続開始時点ですでに亡くなっている場合に、その子どもが代わりに相続人となる制度です。

もし兄弟姉妹に遺留分が認められるとなると、代襲相続人となる甥や姪にも遺留分が受け継がれます。

関係性の薄い甥や姪の遺留分によって遺言が覆されてしまうのを防ぐことも、兄弟姉妹に遺留分がない理由の一つとされています。

 

遺留分のない兄弟姉妹が相続財産を取得するケース

兄弟姉妹には、法定相続においては第三順位であり、相続財産を取得できないケースも多いでしょう。

しかし、以下のような方法を行えば、兄弟姉妹であっても相続財産を受け取れる可能性があります。
・生前に被相続人と相談し遺言書を作成してもらう
・遺言の無効を主張する

それぞれどのような方法なのか、以下で詳しく確認していきましょう。

生前に被相続人と相談し遺言書を作成してもらう

もっとも確実なのは、生前に被相続人と相談し、遺言書を作成してもらう方法です。

遺言書の内容は、原則として民法で定められた相続順位よりも優先されます。

そのため、遺言書に「兄弟姉妹に財産を渡す」と明記されていれば、相続順位の低い兄弟姉妹であっても財産を取得できます。

相続時のトラブルを防ぐためにも、遺言書の形式や内容・遺留分の侵害などには注意しましょう。

遺言の無効を主張する

遺言によって兄弟姉妹が相続から除外された場合は、遺言の無効を主張する方法もあります。

遺言が無効となる可能性があるのは、以下のようなケースです。
・遺言書の形式が要件を満たしていない
・認知症などで被相続人の遺言能力に問題があった
・偽造や変造の疑いがある

遺言の無効を争う際は医療記録や筆跡鑑定などの証拠が必要になる場合があり、手続きも複雑です。

そのため、まずは弁護士などの専門家に相談し、争うだけの根拠や見込みがあるかを確認するようにしましょう。

 

被相続人の兄弟姉妹が相続人となる際の注意点

兄弟姉妹が相続人として遺産を受け取る際、注意すべきポイントとして以下の2点があります。
・兄弟姉妹に再代襲は認められていない
・2割加算によって相続税が高くなる可能性がある

これらは相続手続きや納税に直接影響を及ぼすため、事前に理解しておくことが大切です。

各注意点について、以下で一つずつ解説していきます。

兄弟姉妹に再代襲は認められていない

相続では、被相続人の兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、その子どもである甥や姪が代襲相続人となります。

ただし、代襲相続人となる甥・姪もすでに亡くなっている場合は、甥・姪の子どもには再代襲されません。

再代襲とは、代襲相続人となる人物が相続開始前に亡くなっている場合に、代襲相続人の子どもが相続権を受け継ぐことです。

子どもや孫などの直系血族には再代襲が認められていますが、兄弟姉妹の系統は「一世代分の代襲」のみとなります。

被相続人の兄弟姉妹が相続人となる際は、相続権を受け継ぐ範囲に限りがある点に注意しておきましょう。

2割加算によって相続税が高くなる可能性がある

兄弟姉妹が相続人となる場合、相続税の計算において税額の2割加算が適用されます。

2割加算とは、被相続人の配偶者や一親等の血族以外が相続する場合に、相続税が2割増しで課税される制度です。

同じ金額を相続したとしても、兄弟姉妹は配偶者や子どもよりも結果的に手元に残る金額が少なくなるケースがあります。

2割加算の制度を知らずに多額の財産を取得すると、予想以上の納税負担に直面する可能性があるため注意が必要です。

相続税の負担を抑えたい場合には、事前に税理士などの専門家に相談するなどして対策を行いましょう。

 

兄弟姉妹は遺留分を請求できない|相続の疑問は専門家に相談しよう

被相続人の兄弟姉妹は、相続順位が第三順位と優先度が低く、遺留分も認められていません。

そのため、兄弟姉妹がかかわる相続では、相続人間で誤解やトラブルが生じやすい傾向にあります。

相続を円滑に進めるためには、遺言書の作成など生前の対策も重要です。

相続手続きや相続人間のトラブルで悩んだら、早めに弁護士などの専門家に相談しましょう。

専門家のサポートを受けられれば、手続きをスムーズに進められるだけでなく、問題を未然に防げる可能性が高くなります。

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