相続の相談は弁護士?税理士?対応できる手続きの違い

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分36秒です。

相続が発生すると、遺産分割や相続財産の名義変更・相続税の申告など、対応すべき手続きが多岐にわたります。

その過程で、弁護士や税理士などの専門家に依頼すべきかどうか迷う人も多いのではないでしょうか。

しかし、相続の内容や状況によって依頼すべき専門家は異なります。

今回の記事では、相続に関わる弁護士・税理士・司法書士の役割や、どのようなケースで依頼すべきかをわかりやすく解説します。

専門家を選ぶポイントについても解説するため、ぜひ最後までご覧ください。

 

相続は弁護士や税理士に依頼すべき?押さえておきたいポイント

相続の手続きには専門知識が必要な場面が多くあります。

しかし、必ずしもすべてのケースで弁護士や税理士などの専門家に依頼する必要があるわけではありません。
・相続税が課税されないケースもある
・相続問題の実務経験がない専門家もいる
・費用倒れのリスクがある

以下では、専門家に依頼する前に知っておきたい3つのポイントを解説します。

相続税が課税されないケースもある

相続では、すべてのケースで相続税が発生するわけではありません。

相続税には「基礎控除」があり、基礎控除額を超えない場合は申告・納税ともに不要となります。

基礎控除額の計算式は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」です。

財産が少ない場合や相続人が多い場合には、課税対象にならない場合も多いでしょう。

専門家に相続税対策を依頼する際は、まず課税の可能性があるかどうかを見極めた上で判断すべきです。

相続問題の実務経験がない専門家もいる

弁護士や税理士といった国家資格をもつ専門家でも、すべての人が相続に詳しいわけではありません。

とくに相続問題は実務経験が求められる分野であり、理論だけでなく実際の手続きや交渉への対応力が重要です。

相続問題の実績が乏しければ、依頼料を支払ったとしても十分なサポートを得られない可能性があります。

依頼前には、事務所のホームページなどで過去の対応実績や得意分野について確認するようにしましょう。

費用倒れのリスクがある

専門家に依頼する際には、費用が発生します。

依頼内容によっても大きく異なりますが、基本的には着手金・成功報酬・実費・日当などの支払いが必要です。

そのため、相続財産の総額が少ない場合、支払う報酬が相続で得られる金額を上回ってしまうケースもあるでしょう。

こうした「費用倒れ」を防ぐためには、事前に費用の見積もりを取り、費用対効果を慎重に検討する必要があります。

 

弁護士・税理士・司法書士が対応できる相続手続きと依頼すべきケース

相続の手続きでは、内容によって法律・税務・登記などの専門知識が求められます。

依頼すべき専門家も弁護士・税理士・司法書士と分かれており、それぞれ対応できる範囲が異なります。
・弁護士が対応できる相続手続き
・税理士が対応できる相続手続き
・司法書士が対応できる相続手続き

以下では、それぞれの専門家が対応できる手続きと、どのようなケースで依頼すべきかを確認していきましょう。

弁護士が対応できる相続手続き

弁護士は法律の専門家として、以下のような手続きに対応できます。
・相続人の調査
・相続財産の調査
・遺言書の作成と検認
・相続放棄や限定承認
・遺産分割協議書の作成
・遺産分割協議の代理交渉
・遺留分侵害額請求
・特別代理人や成年後見人などの選任申し立て

代理交渉や裁判手続きの代行も含め、相続手続き全般に対応しているのが特徴です。

ただし、不動産登記や相続税の申告に関しては、業務として扱っていない法律事務所も多いため注意しましょう。

ほかの専門家と連携している弁護士であれば一括して依頼できる可能性があるため、詳しくは相談時に確認するようにしてください。

弁護士に依頼した方がいいケース

以下のような相続のケースでは、弁護士に相談・依頼することが適しています。
・相続人同士の話し合いがまとまらず、争いになっている場合
・特定の相続人に財産隠しや使い込みの疑いがある場合
・遺留分侵害や遺言の無効を主張したい場合

とくに、紛争解決は弁護士にしか対応できない業務の一つです。

相続トラブルが予測される場合には、深刻化する前に早めに弁護士へ相談しましょう。

税理士が対応できる相続手続き

税理士は税務の専門家として、以下のような相続手続きに対応しています。
・税務に関する相談
・相続人の調査
・相続財産の調査
・相続税が課税される場合の遺言書の作成
・所得税の準確定申告
・相続税申告

相続税申告や所得税の準確定申告は、税理士が専門的に扱っている分野です。

相続財産の金額が大きく相続税の申告が必要な場合には、税理士への相談を検討しましょう。

税理士に依頼した方がいいケース

税理士に依頼した方がいいのは、以下のようなケースです。
・評価が難しい財産があり課税対象になるのかわからない場合
・相続税対策や税務調査について相談したい場合
・相続税の還付請求をしたい場合

節税したい場合や相続税申告について不安がある場合は、税理士に相談・依頼するのが適しています。

相続税の申告は複雑であるため、できるだけ実績や経験の豊富な税理士を選びましょう。

司法書士が対応できる相続手続き

司法書士が対応できる主な相続手続きは、以下のとおりです。
・相続人の調査
・相続財産の調査
・遺言書の検認
・相続放棄や限定承認の書類作成
・相続財産に不動産が含まれている場合の遺産分割協議書の作成
・特別代理人や成年後見人などの選任申し立て

司法書士は、登記手続きや法的な書類作成などを得意とする専門家です。

相続財産に不動産が含まれている場合は、「相続登記」という名義変更手続きを行う必要があります。

相続登記に関する相談は、相続問題を得意とする司法書士に相談しましょう。

司法書士に依頼した方がいいケース

以下のようなケースでは、司法書士への依頼が適しています。
・相続財産に土地や建物などの不動産が含まれている場合
・相続人の確定や相続財産の調査に不安がある場合
・相続放棄の書類作成を依頼したい場合

相続登記には時間と手間がかかるため、悩んだときは司法書士へ相談することをおすすめします。

また、相続税の申告が必要なく相続人間で争いがないケースであれば、ほとんどの相続手続きをサポートしてもらえるでしょう。

ただし、「相続登記専門」の司法書士事務所もあり、その場合は相続登記以外の依頼はできないため注意が必要です。

 

相続問題を弁護士や税理士などの専門家に依頼する際の選び方

専門家に依頼する際は、相続分野における実績と信頼性を重視する必要があります。

弁護士・税理士・司法書士の中でも、相続に関する経験が豊富な専門家であれば、複雑な事情にも柔軟に対応してもらえるでしょう。

また、実績や経験だけでなく、費用体系が明確に説明されているかどうかも専門家を選ぶポイントの一つです。

相談する際は、依頼する前に「専門性」「説明の丁寧さ」「費用体系」などを総合的にチェックしましょう。

最近は初回相談を無料としている事務所も多いため、複数の専門家に相談して比較するのもおすすめです。

 

相続で困ったときは弁護士・税理士・司法書士などの専門家に相談しよう

相続に関する疑問や不安を感じたときは、弁護士・税理士・司法書士などへの相談を検討しましょう。

相続に詳しい専門家のアドバイスを受けられれば、手続きがスムーズになるだけでなく、将来的なトラブルも防ぎやすくなります。

なお、どの専門家に依頼すべきかは、相続手続きの内容によって異なります。

遺産分割でもめている場合は弁護士、相続税の申告で悩んだときは税理士など、相談したい内容に応じた専門家を選びましょう。

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