相続の相談は市役所でもできる?相談費用や内容について
〇この記事を読むのに必要な時間は約8分51秒です。 
相続に関する悩みや不安を抱えていても、誰に相談すればよいのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
そのようなときに、身近な相談先として頼りになるのが「市役所」です。
多くの自治体では、相続に関する無料相談窓口を設けており、弁護士や司法書士などの専門家によるアドバイスが受けられることがあります。
今回の記事では、市役所で利用できる相続相談の概要や相談時のポイント、さらに市役所以外の無料相談窓口についても解説します。
相続に関する不安を解消するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
目次
市役所では相続に関する無料相談ができる

市役所では、相続を含む法律問題について無料で相談できる窓口を設けています。
無料相談では、相続人の調査方法や遺産分割協議の進め方、必要な書類の確認など基礎的な内容のアドバイスが受けられます。
相談は原則として予約制で、1回あたり30分〜1時間程度に設定されている場合が多く、気軽に利用できるのが特徴です。
以下では、市役所の無料相談を利用できる対象者や、相談を担当する専門家について詳しく確認していきましょう。
市役所の無料相談を利用できる対象者
市役所の無料相談では、基本的に以下のような人を対象としています。
・市内に住んでいる人
・市内に勤め先がある人
・市内の学校に通っている人
市内在住でなくても、市内に土地や建物などの不動産がある場合、不動産の相続について相談できる可能性もあります。
対象範囲は自治体によって異なるため、詳しくは市役所のホームページや電話窓口などで確認するようにしてください。
市役所の無料相談で相談できる専門家
市役所の無料相談では、提携している弁護士や税理士・司法書士といった専門家が対応を行っています。
それぞれの専門家が対応できる主な相談内容は、以下のとおりです。
| 専門家 | 相談できる相続問題 |
| 弁護士 | 相続に関する手続き全般と相続トラブルに関する相談 |
| 税理士 | 相続税や贈与税に関する相談 |
| 司法書士 | 相続登記や相続関連の書類作成に関する相談 |
| 行政書士 | 遺言書や遺産分割協議書などの作成に関する相談 |
専門家によって対応できる分野が異なるため、相談したい内容に応じて選択が必要です。
市役所が実施している相談会に申し込む際は、どの専門家が対応してくれるのかも確認するようにしましょう。
市役所で相続の相談をするのが向いている人の特徴
市役所で相続の相談をするのが向いている人には、以下のような特徴があります。
・まずは基礎的な情報が知りたい人
・どこに相談すればいいのかわからない人
・専門家の事務所に直接相談するのに抵抗がある人
市役所の相談では時間が限られており、複雑な問題やトラブルの相談には適していません。
そのため、相続手続きの進め方や必要書類の確認といった一般的なアドバイスを求めている人におすすめです。
費用をかけずに初期の情報収集を行いたい場合には、市役所の無料相談が有効な選択肢となるでしょう。
相続問題を市役所で相談する際に押さえておきたいポイント

市役所での相談時間を最大限活用するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
・予約の方法や日程・相談できる専門家を確認しておく
・相談内容や関係資料は事前に準備する
・市役所での相談では問題が解決できない場合もある
これらのポイントを事前に把握しておけば、スムーズかつ効果的に相続相談を進められるでしょう。
各ポイントについて、以下で詳しく解説していきます。
予約の方法や日程・相談できる専門家を確認しておく
市役所での法律相談は基本的に予約制で行われているため、事前に窓口やホームページから予約方法を確認しましょう。
開催日が月に数回など限られている場合は、希望の日にちが埋まっている可能性もあるため、余裕をもって申し込む必要があります。
また、相談を担当する専門家によっても対応できる範囲が異なるため、自分の相談内容に適した日程を選ぶことも重要です。
自治体によっては、日によって専門家が入れ替わるケースがあるため、誰に相談できるかも事前にチェックしておきましょう。
相談内容や関係資料は事前に準備する
一度に相談できる時間には限りがあるため、事前に相談したい内容を整理しておくと無駄なく話を進められます。
たとえば、「相続人が誰になるかを確認したい」「相続登記の手順を知りたい」などの目的は明確にしておきましょう。
また、戸籍謄本や遺言書の写しなど関連する資料を持参すると、より具体的なアドバイスを受けられる可能性が高くなります。
書類が揃っていない段階でも、ほかに何が必要かを質問する機会になるため、可能な範囲で資料を集めておきましょう。
市役所での相談では問題が解決できない場合もある
市役所での無料相談は、あくまでも初期的なアドバイスや方向性の確認を目的としたものです。
そのため、複雑な相続問題や相続人同士のトラブルが生じている場合は、市役所だけでは解決が難しいでしょう。
このような場合には、弁護士や司法書士などの専門家による個別対応が必要になります。
迷ったときは市役所での相談を通じて、「専門機関に依頼すべきかどうか」の判断材料を得ることもおすすめです。
市役所以外で相続の無料相談ができる窓口

市役所以外にも、相続に関する無料相談を提供している機関は多数あります。
代表的な相談先は、以下の3つです。
・法テラスの無料法律相談
・弁護士会の法律相談センター
・法律事務所の無料相談
状況に応じて適切な相談先を選択できれば、より専門的かつ実践的なアドバイスを受けられます。
それぞれの窓口の特徴について、以下で詳しく見ていきましょう。
法テラスの無料法律相談
法テラス(日本司法支援センター)は、国が設置した公的な機関で、相続を含むさまざまな法的トラブルに対応しています。
一定の収入や資産の条件を満たしていれば、無料の法律相談や弁護士費用の立て替え制度を利用できます。
無料相談は予約制で1回30分、同じ問題につき3回まで相談が可能です。
収入や資産の条件は家族構成や居住地域などによっても異なるため、詳細は法テラスのホームページなどで確認してみてください。
弁護士会の法律相談センター
各都道府県の弁護士会でも、相続を含む法律相談に対応しています。
法律相談は基本的に有料となりますが、相談内容や地域によっては無料で相談できる場合があります。
実際の事件対応が必要な場合には、そのまま弁護士の紹介を受けられる点も特徴です。
事前に予約してから相談する流れになるため、相談センターの窓口やホームページで案内を確認しておくとスムーズです。
法律事務所の無料相談
法律事務所でも、相続に関する初回無料相談を実施しているところが多数あります。
インターネットで「相続 無料相談 地域名」などと検索すれば、近隣の事務所を簡単に検索できるでしょう。
法律事務所の無料相談は、時間や内容に制限がある場合が多いものの、相続問題に詳しい弁護士を自分で選べる点がメリットです。
すでに具体的な問題を抱えている場合や、今後依頼することを視野に入れている人にとっては、有効な選択肢となります。
市役所で解決できない相続問題は弁護士などの専門家に相談しよう

相続手続きには法律・税金・人間関係といった複数の要素が関係するため、個人で解決するのが難しいケースも多いでしょう。
市役所が実施している無料法律相談は、相続手続きの第一歩として情報を得たい場合に有効です。
しかし、複雑な相続問題を解決したい場合には、市役所の相談だけでは解決できない可能性があります。
そのような場合には、弁護士や税理士・司法書士といった専門家に個別で相談するのがおすすめです。
わからないまま放置するとトラブルが深刻化してしまうリスクもあるため、早めの相談を検討してみてください。
弁護士法人ふくい総合法律事務所
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