相続財産の受け取り時期の目安をパターン別に解説。早く受け取りたい場合の方法

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分36秒です。

相続が発生したとき、相続財産はいつ受け取れるものなのか疑問に思う人は多いのではないでしょうか。

相続財産の受け取り時期は、遺言書の有無や内容・相続人の人数・遺産分割の進み具合などによって大きく異なります。

とくに複数人の相続人がいる場合、相続人同士の意見に食い違いが発生し、手続きが長引くケースもあるでしょう。

今回の記事では、相続財産の受け取り時期について解説します。

すぐに受け取りたいときの具体的な対策まで解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

 

相続財産の受け取り時期はいつ?

相続人となった人が相続財産を受け取れる時期には、明確な基準があるわけではありません。

個々の状況に応じて、相続手続きの流れや期間は変化します。
・受け取れるタイミングは相続状況によって大きく異なる
・相続手続きの基本的な流れ

スムーズに相続を進めるためにも、まずは相続財産を受け取れるタイミングや相続の基本的な流れを確認していきましょう。

 

受け取れるタイミングは相続状況によって大きく異なる

相続財産をいつ受け取れるかは、遺言書の有無や相続人の人数・手続きの進め方などによって大きく異なります。

たとえば、遺言書があってその内容に従って相続が進む場合は、比較的早く財産を受け取れるケースが多いです。

一方で、遺言書がなければ相続人全員での協議が必要となるため、財産の受け取りまでに長い時間を要する場合があります。

また、財産調査や相続人の調査に時間がかかる場合、その分財産を受け取れるタイミングも遅くなってしまいます。

円滑に手続きが進んだとしても、相続開始から実際に財産を受け取るまでの期間は数ヶ月程度はかかる場合が多いでしょう。

 

相続手続きの基本的な流れ

相続財産を受け取るためには、一定の法的手続きを踏む必要があります。

一般的な相続手続きの流れは、以下のとおりです。

1.相続開始(被相続人の死亡)
2.遺言書の有無の確認
3.相続人の調査
4.相続財産の調査と評価
5.相続方法の選択
6.遺産分割協議と協議書の作成
7.財産の名義変更手続き
8.相続税の申告と納付

これらの手続きは一つひとつに時間がかかるうえ、関係者の合意形成が必要な工程も多く含まれています。

財産調査や遺産分割協議が難航すると、相続財産を受け取るまでの期間も長引くため注意が必要です。

相続をスムーズに進めたい場合には、弁護士などの専門家への相談や依頼も検討しましょう。

 

【パターン別】相続財産の受け取り時期の目安

相続財産の受け取り時期は、相続の状況によって大きく変わります。

ここでは、相続のパターンを4つに分類し、それぞれの受け取り時期の目安を解説します。
・検認が不要な遺言書がある場合
・検認が必要な遺言書がある場合
・遺言書がなく相続人が一人のみの場合
・遺言書がなく相続人が複数人いる場合

各パターンにおける流れと期間の目安について、以下で詳しく見ていきましょう。

検認が不要な遺言書がある場合

「公正証書遺言」という種類の遺言がある場合、家庭裁判所での検認手続きが不要となります。

そのため、相続手続きは比較的早く進められるでしょう。

公正証書遺言は公証人によって作成されており、内容が法的に整っている点が特徴です。

遺言に従って手続きを行った場合、相続財産の受け取りまでには2週間〜数ヶ月程度かかるケースが一般的です。

ただし、遺言書に記載されていない財産が発覚したり、遺言執行者が指定されていない場合には手続きが長引く傾向があります。

検認が必要な遺言書がある場合

遺言書の種類が「自筆証書遺言」や「秘密証書遺言」の場合、家庭裁判所での検認手続きが必要です。

家庭裁判所に検認を申し立ててから実際に完了するまで、通常1ヶ月〜2ヶ月程度かかります。

相続手続きを進められるのは検認完了後となるため、相続開始から財産を受け取るまでの期間は3ヶ月〜半年以上かかるでしょう。

なお、検認後に遺言内容に争いが生じた場合は、遺産分割調停などに発展し、さらに長期化する可能性もあります。

遺言書がなく相続人が一人のみの場合

遺言書がなく相続人が一人しかいない場合、すべての財産を一人で受け取ることになります。

この場合、相続開始から財産を受け取れるまでの期間は数週間〜数ヶ月程度が目安です。

相続人の調査や財産調査・各財産の名義変更手続きなどは必要ですが、比較的スピーディーに相続手続きを進められるでしょう。

なお、後から被相続人の養子や隠し子が発覚するケースも考えられるため、相続人調査は慎重に行う必要があります。

遺言書がなく相続人が複数人いる場合

遺言書がなく相続人が複数いる場合、遺産をどのように分けるかを決めるための「遺産分割協議」が必要になります。

協議は全員の合意が得られるまで成立しないため、相続財産受け取りまでの期間はどうしても長くなりがちです。

このパターンでの目安は、少なくとも3ヶ月〜半年以上です。

協議が円滑に進めば3ヶ月ほどで完了する可能性もありますが、意見の対立などにより1年以上かかるケースも珍しくありません。

 

相続ですぐにお金を受け取りたいときの対策

相続財産は、原則として正式な手続きを経なければ自由に使用することはできません。

しかし、いくつかの制度や手段を利用すれば、相続手続きの完了前にお金を受け取れる可能性があります。
・預貯金の仮払い制度を利用する
・家族信託を利用する
・生命保険金を受け取る

それぞれの方法について、以下で具体的に解説していきます。

預貯金の仮払い制度を利用する

「預貯金の仮払い制度」とは、相続手続きが完了していなくても、一定の範囲内で被相続人の口座から預貯金を引き出せる制度です。

引き出せる金額は、以下のいずれかのうち低い方の金額が上限となります。
・150万円
・相続開始時の預金額×3分の1×法定相続分

仮払いには被相続人と相続人の戸籍謄本や印鑑証明書など、必要書類の提出が求められます。

金融機関によって運用の細かいルールが異なる可能性もあるため、窓口に確認しておくと安心です。

家族信託を利用する

「家族信託」とは、将来の財産管理や承継を目的として、家族など信頼できる人に財産の管理・処分を託す制度です。

相続が発生する前に契約を結んでおけば、遺産分割を行わなくても特定の財産を速やかに取得できます。

しかし、家族信託の仕組みは複雑で、契約書の作成や信託内容の設計に専門知識が求められます。

利用する際は、公正証書化なども含めて、弁護士や司法書士などの専門家に相談しながら準備を進めましょう。

生命保険金を受け取る

被相続人が加入していた生命保険の受取人となっている場合は、死亡後すぐに保険金を請求できます。

生命保険金は「受取人固有の財産」として扱われ、相続財産とは別枠で速やかに受け取れるのが特徴です。

通常、保険会社に必要書類を提出すれば、請求後1週間程度で保険金が振り込まれます。

なお、生命保険金は相続財産ではありませんが、一定額を超えると相続税の課税対象となる可能性があるため注意が必要です。

 

相続財産の受け取り方で悩んだときは専門家に相談しよう

相続には法律や税金、不動産など複数の分野がかかわるため、状況に応じた正しい判断が求められます。

早めに相続財産を受け取りたい場合でも、自己判断で手続きを進めてしまうとトラブルを招くおそれがあります。

円滑に手続きを進めたいときには、弁護士・税理士・司法書士といった専門家に相談するのが有効です。

複雑な手続きをサポートしてもらうことで、精神的・時間的な負担も大幅に軽減されるでしょう。

不安な点は一人で抱え込まず、信頼できる専門家への相談を検討してみてください。

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