相続手続にかかる弁護士費用はいくら?

 

この記事を読むのに必要な時間は約8分12秒です。

遺産相続ではさまざまな問題が発生し、状況によって弁護士のサポートが必要となります。

弁護士への相談や依頼を考えたときに、費用はいくらなのか、誰が払うべきなのか悩む人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、遺産相続の問題を弁護士に依頼する際の費用相場や、弁護士費用を支払う人について解説します。

弁護士費用を払えない場合の対処法も紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。

 

遺産相続を依頼する際の弁護士費用相場

遺産相続を依頼する際の弁護士費用には、次のような項目があります。
・法律相談料
・着手金
・報酬金
・日当
・実費

実際の費用は弁護士事務所によって設定が異なるため、利用する事務所に都度確認するようにしましょう。

費用項目別の一般的な相場について、以下で具体的に解説していきます。

法律相談料

法律相談料は、弁護士に相続に関する法律相談を行う際に発生する費用です。

相談料は時間に応じて加算されるのが一般的で、相場は30分あたり5,000円程度となります。

初回は無料で相談できる事務所もあるため、事前に確認しておくといいでしょう。

着手金

着手金は、弁護士が正式に依頼を受けて作業を開始する際に支払う費用です。

相続問題を依頼する際の相場は20万円~30万円程度で、基本的に返金されません。

なお着手金は依頼内容によっても変動し、遺産総額が高額な場合や、複雑な相続問題の依頼では100万~200万円程度になる可能性もあります。

着手金に不安がある人は、予算や支払い方法について、事前に弁護士へ相談しておくのがおすすめです。

弁護士事務所によっては、分割払いや後払いに対応してくれる可能性もあります。

報酬金

報酬金は、相続問題が解決した後に弁護士へ支払う費用で、着手金とは別に設定されます。

案件の成功や成果に応じて決定されるため、交渉や調停・裁判などで獲得した経済的利益の金額の数%という形で支払います。

経済的利益とは、弁護士へ依頼した結果、依頼人が得た利益です。

たとえば相続人間でトラブルがあり、遺産分割協議の代理を弁護士へ依頼し、結果として300万円の遺産相続が決まった場合であれば300万円が経済的利益となります。

報酬金の算出方法は弁護士事務所によって異なるため、実際の費用は依頼する弁護士へ確認しましょう。

日当

日当は、弁護士が遠方へ出向いて業務を行う際などに発生する費用です。

移動時間や待機時間を含む拘束時間によっても異なりますが、1日あたり1万円〜5万円程度が相場となります。

しかし、日当が発生する範囲や価格設定は弁護士事務所によって異なるため、事前に料金体系を確認しておくのが望ましいです。

実費

実費は、相続手続きを進める上で実際にかかる経費です。

たとえば郵送費や証明書の取得費用、申し立てに必要な印紙代などが含まれます。

具体的な金額は依頼内容や進行状況によって異なり、遺産分割協議の依頼であれば1万円〜3万円程度、調停の依頼であれば1万円〜5万円程度が相場です。

遠方の裁判所に出向く必要がある場合、交通費がかかるため10万円を超えるケースもあります。

 

遺産相続にかかる弁護士費用は誰が払うべき?

遺産相続にかかる弁護士費用は、基本的に弁護士へ依頼した人が支払います。

ここでは以下の依頼内容別で、弁護士費用を負担すべき人と費用相場を解説します。
・遺言書作成の弁護士費用
・遺産分割協議の弁護士費用
・相続放棄や遺留分侵害額請求の弁護士費用
・遺言執行の弁護士費用

それぞれのケースでの費用負担について、次で詳しく見ていきましょう。

遺言書作成の弁護士費用

遺言書の作成を依頼する際の弁護士費用は、遺言書を作成する本人、つまり遺言者が支払います。

公正証書遺言として作成する場合、公証人へ支払う手数料も遺言者が負担します。

遺言書の内容や財産の総額によっても変動しますが、一般的な弁護士費用の相場は20万円〜30万円程度です。

遺産分割協議の弁護士費用

遺産分割協議に関する弁護士費用は、弁護士へ依頼した人が負担するのが一般的です。

ほかの相続人の主張がトラブルの原因であったとしても、その相続人に弁護士費用の請求はできません。

遺産分割協議の代理を弁護士へ依頼する場合、着手金の相場は20万円〜30万円です。

報酬金については、交渉によって得られる遺産額(経済的利益)によって変動します。

相続放棄や遺留分侵害額請求の弁護士費用

相続放棄や遺留分侵害額の請求に関連する弁護士費用は、これらの手続きを行う申立人が支払います。

相続放棄は、相続人が相続を望まない場合に行う手続きです。

一方、遺留分侵害額請求は、法定の遺留分が侵害された相続人が行う請求です。

相続放棄にかかる弁護士費用の相場は5万円~10万円程度となりますが、遺留分侵害額請求にかかる弁護士費用は、請求する遺留分の金額によって異なります。

なお相続人と相続財産の調査も依頼する場合、別途5万円程度の調査費用を支払う必要があります。

遺言執行の弁護士費用

遺言執行にかかる弁護士費用は、民法によって相続財産から支払うと定められています。

そのため、遺言執行の対象となる財産の相続人全員で均等に負担するのが一般的です。

遺言執行は遺言に従って遺産分割を行うための手続きであり、遺言者の最終意志にもとづくものです。

費用相場は最低でも30万円程度で、状況によっては100万円を超えるケースもあります。

 

相続の弁護士費用を払えない場合の対処法

相続手続きに関わる弁護士費用を支払えない場合には、以下のような対処法があります。
・分割払いを相談する
・法テラスを利用する

弁護士費用が一度に払えないとしても、依頼自体を諦める必要はありません。

費用を抑える対処法について、以下で一つずつ解説していきます。

分割払いを相談する

弁護士費用を払うのが難しい場合は、分割払いができないかを相談しましょう。

弁護士事務所では、依頼者の経済状況に配慮して、さまざまな支払い方法に対応している可能性があります。

分割払いや後払いが可能であれば、初期費用を抑えつつ必要な法的サポートを受けられます。

費用の総額や支払い方法については、事前に弁護士に確認し、納得した上で契約に進むようにしてください。

法テラスを利用する

法テラス(日本司法支援センター)を利用するのも、弁護士費用が払えない際の一つの手段です。

法テラスとは、国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所で、経済的に困難な状況にある人に対して支援を行っています。

支援の具体的な内容としては、無料の法律相談や弁護士費用の立て替えなどです。

利用するには収入や資産が一定額以下であるなどの要件を満たす必要があるため、まずは法テラスの公式サイトを確認してみてください。

 

遺産相続の弁護士費用は状況によって異なる!まずは相談からはじめよう

遺産相続における弁護士費用は弁護士事務所によって異なり、相続の内容や手続きの複雑さによっても幅があります。

相続手続きで悩んだら、まず弁護士への相談からはじめてみてください。

初回の相談を無料としている弁護士事務所であれば、費用負担ゼロで法律相談が利用できます。

知識や経験が豊富な弁護士に相談することで、複雑な相続問題を解決するための具体的なアドバイスを得られるでしょう。

 

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