遺産分割調停の流れ【準備から申し立てまで】

 

この記事を読むのに必要な時間は約9分8秒です。

遺産の分け方についての話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の「遺産分割調停」を利用するケースがあります。

しかし、遺産分割調停がどのように進むのか、何を準備すればいいのかわからず不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

今回の記事では、遺産分割調停の基本から申し立て前の準備、実際の流れまでをわかりやすく解説します。

遺産分割調停の流れを正しく知り、今後の対応を落ち着いて考えるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

 

遺産分割調停の流れを理解するための基礎知識

遺産分割調停の流れを理解するうえで、まず押さえたいポイントは次の2つです。

・遺産分割調停とは?
・遺産分割調停が必要になるケース

どのような手続きで、どのような場面で必要になるのかを理解できれば、申し立ての必要性や進め方をイメージしやすくなります。

以下では制度の概要と、利用されるケースについて詳しく見ていきましょう。

遺産分割調停とは?

遺産分割調停とは、亡くなった人の遺産の分け方について、相続人が家庭裁判所の調停委員会を介して話し合う手続きです。

裁判官と調停委員が当事者双方から事情や希望を聞き、資料の提出などを受けながら、合意による解決を目指して進められます。

中立的な立場の第三者を交えて話し合うため、感情的な対立を避けやすく、冷静な解決を期待できる点が特徴です。

調停での話し合いがまとまれば、その内容に沿って遺産を分割します。

一方で、不成立となった場合は自動的に審判手続きに移行し、最終的に裁判官が判断を下します。

遺産分割調停が必要になるケース

遺産分割調停が必要になるのは、相続人同士で遺産の分け方について話し合っても合意できないときです。

具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

・遺産の分け方に納得できない相続人がいる
・不動産を誰が取得するかでもめている
・遺産の範囲や評価額について意見が食い違っている
・一部の相続人が話し合いに応じてくれない

当事者だけでの協議では解決が見込めない場合は、遺産分割調停の申し立てを検討しましょう。

 

遺産分割調停の前に準備しておくこと

遺産分割調停の前に準備しておくべきことは、主に次の3つです。

・遺言書・相続人・遺産を確認する
・調停で伝えたい希望と争点を整理する
・申し立てに必要な書類と費用を準備する

これらを事前に整理しておくと、相続の状況や自分の考えが明確になり、手続きをスムーズに進めやすくなります。

以下では、準備しておきたいポイントを順に確認していきましょう。

遺言書・相続人・遺産を確認する

まずは、遺言書の有無や相続人・遺産の内容を確認しておきましょう。

有効な遺言書があり、すべての遺産の行き先が決まっている場合は、原則として遺産分割の対象にはなりません。

ただし、相続人全員の合意があれば、遺言と異なる分け方ができる場合もあります。

また、相続人に漏れがあると相続手続きが進められないため、戸籍を集めて関係を整理しておくことも重要です。

あわせて、不動産や預貯金などの遺産を把握し、資料で確認できる状態にしておくとその後の話し合いがスムーズになります。

調停で伝えたい希望と争点を整理する

遺産分割調停の前には、自分がどのような分け方を希望しているのかを整理する必要があります。

たとえば不動産の場合、現物のまま取得したいのか、売却して現金で分けたいのかなどによって主張の仕方が変わるためです。

希望がはっきりしていれば、調停委員に事情を伝えやすくなり、相手方との意見の違いも把握しやすくなります。

また、どこが争点になりそうかを事前に考えておくことも大切です。

遺産の範囲や評価額などで認識がずれている場合もあるため、対立しそうな点はあらかじめ整理しておきましょう。

申し立てに必要な書類と費用を準備する

遺産分割調停を申し立てる際には、申立書のほか、相続関係や遺産の内容がわかる書類を準備する必要があります。

主な必要書類は、以下のとおりです。

・申立書1通と申立書の写しを相手方の人数分
・事情説明書と照会回答書
・被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍謄本)
・相続人全員の戸籍謄本
・相続人全員の住民票または戸籍附票
・遺産に関する証明書(預金通帳の写しや不動産登記事項証明書など)

必要書類は相続状況や対象となる遺産によっても異なるため、家庭裁判所に確認したうえで準備を進めましょう。

申し立て費用については、被相続人1人につき収入印紙1,200円分と、連絡用の郵便切手が必要です。

郵便切手の内容は裁判所ごとに異なるため、具体的な金額は申し立て先の案内を確認するようにしてください。

 

遺産分割調停の流れ|申し立てから成立・不成立まで

遺産分割調停の基本的な流れは、次のとおりです。

・遺産分割調停を申し立てる
・調停期日が通知される
・調停期日に出席する
・調停成立の場合は調停調書が作成される
・調停不成立の場合は審判に移行する

全体像を先に知っておくと、今どの段階にいるのかを理解しやすくなり、落ち着いて対応しやすくなるでしょう。

以下では、申し立てから終了までの流れを順番に解説していきます。

遺産分割調停を申し立てる

まずは、相手方のうちの1人の住所地を管轄する家庭裁判所、または当事者の合意で定めた家庭裁判所に調停を申し立てます。

最初から遺産分割審判を申し立てることも可能ですが、遺産分割調停から申し立てるのが一般的です。

相続状況に応じた必要書類と収入印紙・郵便切手を用意し、申立書とあわせて提出しましょう。

調停期日が通知される

申し立てが受理されると、家庭裁判所から第1回調停期日の日時が通知されます。

調停期日とは、裁判所で実際に調停を行う日程です。

調停期日は申し立てから1~2ヶ月後が目安となりますが、裁判所や事案によっても変わります。

通知書には期日だけでなく当日に必要なものなどについても記載されているため、忘れずに確認しておきましょう。

調停期日に出席する

調停期日には、指定された時間前に家庭裁判所に出向き、待合室に入室します。

当日の流れは、以下のとおりです。

・待合室で待機する
・遺産分割調停の手続きについて説明を受ける
・調停委員から呼ばれたら調停室に移動する
・調停委員と話し合う
・今回合意できた内容と次回の調停期日を確認する

申立人と相手方は別々に話を聴かれるケースが多いものの、同時に説明や聴取が行われる場合もあります。

調停成立または不成立となるまでは、必要に応じて複数回の調停期日が開かれます。

調停成立の場合は調停調書が作成される

相続人全員が合意に至った場合、遺産分割調停は成立します。

成立した内容は裁判所で「調停調書」にまとめられ、この時点で家庭裁判所での遺産分割手続きは終了です。

調停調書は、合意内容を公的に示す重要な書面です。

調停が成立した後は、調停調書の内容をもとに遺産分割を進めます。

調停不成立の場合は審判に移行する

話し合いを重ねても合意できなければ、調停は不成立となり、手続きは自動的に審判へ移行します。

審判では、調停で出された意見や資料も踏まえて、最終的に裁判官が遺産の分け方を判断します。

そのため、必ずしも各相続人の希望どおりの結論になるとは限りません。

審判が確定した場合は、その内容に従って遺産分割を進めます。

審判に不服がある場合は、告知を受けた日から2週間以内であれば即時抗告が可能です。

 

遺産分割調停の流れに不安があるときは弁護士に相談しよう

遺産分割調停では、対象となる財産や評価額の考え方を踏まえて、どのような分け方が現実的なのかを整理する必要があります。

相続人全員の合意がなければ調停は成立せず審判に移行するため、見通しが立たないまま進めると負担が大きくなりがちです。

とくに、相続人同士の対立が強く調停での解決が困難なケースでは、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士に相談すれば、争点の整理や資料の集め方、調停でどのように希望を伝えるかといった点を事前に確認できます。

少しでも対応に迷いがあるなら、一人で抱え込まず、弁護士への相談を検討してみてください。

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