相続財産にならないものはどのようなものですか?

 

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民法上の相続財産にならないもの

祭祀財産

まずは、祭祀財産です。
祭祀財産とは、先祖をまつるための財産のことです。
たとえば家系図や仏壇仏具、神棚などの祭具、お墓などが祭祀財産になります。
これらは、相続人らによる遺産分割協議で分けることはしません。
祭祀財産は金銭的価値がある場合でも相続財産には含まれないため、遺産分割や遺留分請求においても考慮されることはありません。
香典も相続財産とはなりません。

被相続人に一身専属的なもの

権利義務の中でも、被相続人に一身専属的なものは相続の対象になりません。
たとえば、代理権や使用貸借契約における借主の立場、雇用関係における被用者の立場などは、相続人に承継されません。
このことは、父親が死亡したときに、息子が父親の会社に働きに行くことがないことからもわかります。

扶養請求権や扶養義務

扶養請求権や扶養義務も相続の対象になりません。
たとえば、父親が前妻の子どもに養育費を支払っていたとしても、相続人が代わりに養育費を支払う義務はありません。子どもが認知を受けた父親から養育費をもらっていたとしても、子どもの死亡後、相続人が代わりに養育費を請求することはできません。

年金請求権や生活保護受給権

同じように、年金請求権、生活保護受給権も相続の対象になりません。

※被相続人の遺族が遺族年金を受給することがありますが、それは受給者の固有の権利なので、相続財産には含まれません。

生命保険の受取金

生命保険の受取金も、基本的には相続財産になりません。死亡保険金の請求権は、受取人の固有の財産になり、相続財産には含まれないためです。

ただし、生命保険が他の相続財産と比べて非常に高額であり、それを相続財産に含めないことによって他の相続人と著しく不公平になってしまう場合には、生命保険の受取金を特別受益に準じて、相続財産に含めて計算することを認めています(最判平成16年10月29日民集第58巻7号1979頁)。

死亡退職金

会社に勤めている方が退職前に死亡した場合、死亡退職金が支払われることがあります。この場合、会社の支給規定に死亡退職金の受取人が具体的に指定されていることが多く、その場合、死亡退職金は相続財産とならず、受取人固有の財産となります。

相続税申告においては「みなし相続財産」として扱われます

気をつけないといけないのは民法上、相続財産には当たらないとされている生命保険金と死亡退職金については、相続税申告においては、相続財産とみなされる「みなし相続財産」として扱われるということです。ただし、みなし相続財産は一定額までは非課税となります。相続税申告について詳しいことは税理士に確認することをおすすめいたします。

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